SpecialShortStory
Reached feelings - 2
――――
「ちょ、痛いって。
いてっ、いてててぇっ!」
「男の子なら我慢するっ!
痛いのが嫌なら喧嘩なんかするんじゃないのっ」
―――レイアという名前らしいこの女、聞いてもいないのに自分のことをペラペラと話してきた。
レイアは、無理矢理俺を自分が働いてるという酒場に連れ込んで手当てを始めた。
……凄い、乱暴に。
「君、学園の子でしょ?
こんな夜中に城下街にいていいの?」
「……関係、ないだろ」
「悪い子でいたい年頃なのかしら?」
レイアの言葉にカチンときて、言い返そうとしたらずいっと酒瓶を渡された。
意味がわからなくてレイアを見上げると、その手にはふたつのグラス。
「そんな年頃だし、付き合ってくれない?
ここだと絡まれる心配ないし」
「……イタダキマス」
グラスに上等そうな赤い、液体が注がれる。
乾杯、と言って美味しそうに口を付けるレイア。
……正直、俺は美味しいなんて思えなかったけど、ガキに見られたくなくて一気に飲み干した。
その日は、会ったばかりなのにずっと隠してきた俺の心の中、全部さらけ出してしまった。
幼なじみの娘が、好きだと。
親友もその娘が好きで、自分には勝ち目もなくて……親友も、裏切りたくなくて。
全てが、バカバカしくて。
いきがってても、俺は14のガキ、だったんだよな……。
まぁ、今もたいして変わらないけど。
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