SpecialShortStory
Can't reach the feeling. - 6
テッドに、会って話がしたい。
そう思ったらもう身体がテッドの元へと向かってた。
思い立ったら即行動。
この性格、自分でも気に入ってるんだけどね。
この日ばかりは、自分を呪ったわ。
「リサさん? おはよう。昨日はどうも」
うげ。歌姫レイア。
あたし、テッドには会いたいって思ったけど、この人だけは会いたくなかったんだけど。
「こちらこそ、どうも。国一番の歌姫がこんな朝早く城に何の用?」
「……冷たいのね、相変わらず。
私は、陛下に仕事の話があって来たの。貴女にも、話はあるのだけれど」
「悪いけどあたしには話なんかない。朝礼会議があるから。
……何?」
凛とした表情であたしの腕を、掴んで離さない。
……その細い身体のどこにこんな強い力あんのかしら。
「そうやって、私から逃げ続けて生きて行くのね?」
「……はぁ?」
「初めて会った時から気付いてたわ。貴女の、テッドに対する気持ち。
そして……その気持ちが、決して届く事がないのも」
「うるさい。
あんたに言われなくてもわかってる…――っ?!」
無言なままのレイアの平手が、リサの頬を打った。
「……昨夜のお返しよ。勘違い、しないでね。気持ちが届かなかったのは貴女だけじゃないんだから」
何よ。勘違い、ですって?
テッドの……あたしの一番欲しかった、テッドの腕に抱かれていながら…!
熱い頬を抑えながらもそれ以上に熱い、烈火のような怒りがレイアに向かうのがわかった。
でも。
それと同時にレイアの中に、深い悲しみの色が見えて、戸惑ったのも事実。
このヒトも、テッドに想いは届かなかったの…?
誰も、サラには敵わないの?
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