SpecialShortStory
Can't reach the feeling. - 3
「………テッド、私ちょっと酔ったみたい。薬、持って来てくれない?」
「ん? じゃあ中戻ろうか?」
「風に当たっていたいから。ごめんなさいね」
帰ろ……。こんな所に居たって何も変わらないし。
自分が、どんなに醜いか思い知らされるだけだ。
「お久しぶり、リサさん」
「っ?!
レイア……、さん。……なん、で気付いたの」
「服がはみ出てたわよ?
うまく気配を消してテッドにわからないようにしてたみたいだけど。それじゃ、意味がないわよ?
貴女なら、チケットが無くてもいいわ。どうぞ、入って?」
「………いい、テッドに黙ってきたから。
あんたこそ早くテッドの所に戻ってあげなさいよ。待ってるんじゃないの」
「相変わらず、嫌われてるのね。私」
自分が、悪いのはわかってるけど簡単に態度を変えられるわけ、ないじゃない。
……ましてや、こんな余裕顔されてちゃ。
「……帰る」
「あら、残念。重大発表があったのに」
「何……?」
「私、また隣国に戻るの。今度は帰って来ないわ。
………結婚、するの」
―――気が、付いたら歌姫を壁に押し付けてた。
ふざけんじゃないわよ、って叫んで。
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