Present
You Are - 6
『絶対、ぶっ殺してやる……!』
宛てもなくさ迷う日々。
少年は『武族の英雄』のクローン、ブラック。
自身の体を好き勝手に改良してバケモノにした、名前も覚えていない老人。
そいつに復讐したくて、その為には力が必要で。
ただ、力を求めてさ迷う日々が続いた。
そんなある日、やはり7歳という幼い子供がひとり旅をするには限界があって。
ついに空腹感と疲労で倒れ込んでしまった。
朦朧とする意識の中、金色の暖かな光が近付いてくるのが見えた。
『―――月の、精……?』
そんな馬鹿な。
否定する自分と――目の前の少女の整った顔立ちが普通の人間とは違う気がして――肯定している自分がいた。
『ねぇっ、だいじょうぶ?!』
短く、叫ぶように呼び掛けてくる声も透明で清らかで。
『……へへ、本物だ……』
最期に月の精霊に会ったのだと、本気で思った。
―――なぁサラ。
オレはあの時、お前に救われたんだ。
だから今度は、オレがお前を救いたい。
サラ、お前を傷付けるすべてのモノから。
サラ。
お前はオレの傍にいて、笑っててくれよ。
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