Present
キミが好き - 7
「「あのっ」」
「……いや、どうぞ」
「ううん、あとからでいいの」
ひとしきり照れた後に訪れたのは、こんな押し問答。
「「……。あのっ、、あ……」」
終わりそうにないそれを何度か繰り返して。
「ぷっ」
「ぶはっ」
二人して盛大に吹き出した。
向かい合って、互いの顔を見てまた笑いが込み上げる。
「もうっ、全然話が進まない」
「サラが真似してんだろー」
顔をくしゃくしゃにして笑うブラックの姿は、珍しい。
だいたい口端を軽く上げ、ニヤリと自信満々の笑顔が多い。
「……」
「……サラ?」
ブラックのとびきりの笑顔が嬉しくって、思わず彼の腕に触れていた。
そんな私を、じっと見つめるブラック。
「……やだ」
「ん?」
ダメだよ。
ブラックには見せられないんだ。
見せたくないのに、我慢できない。
「私以外の人に、そんな笑顔見せちゃ……やだ」
醜い、幼稚な嫉妬。
恥ずかしい。恥ずかしいのに、一度口にしてしまえば止まらなくなった。
「こんな事言ってごめんね、私……ぷ」
「……」
何が、起きてるんだろう。
「……ばーか」
「な、に?」
ブラックの腕の中にきつく抱きしめられ、息が苦しい。
それでも私の腕は自然と彼の背中に回り、きゅっと目を閉じて彼の温もりを感じてた。
「サラこそ、そんな表情、他の奴になんか見せんじゃねーぞ」
一体私はどんな顔をしていたのだろうか。
頭を過ぎった疑問がするりと消えてしまったのは、暖かい彼の唇が私のそれに触れたから。
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