Present
キミが好き - 5


『あとはお二人でどうぞ』


 ウィンク付きでそう言った先程の男の人。

 私がこんなに大胆な行動に出れたのは、きっと彼のおかげ。




『彼は貴女が好きで堪らないらしい。ヤキモチを焼かせてしまって申し訳ない。ほら、ブラックさんの代わりに見物人にガツンと言ってやって下さい』

 混乱するブラックを差しながら、彼は意地悪な笑みを浮かべていた。



 絶対、申し訳ないなんて思ってない。





「サ、サラ、さっきの……」


「……」



 顔を真っ赤にしたブラックが私の手をひいた事で駆けていた足が止まる。


 手を繋いだまま彼の顔を正面から見ていると、好きの気持ちが大きくなった。



「だって、私だってブラックとのデート楽しみたいのにすぐ色んな人に邪魔されちゃうんだもん」

「!!」




 きっと今の私、ブラックに負けないくらい真っ赤な顔してると思う。


 だけど、そんなこと、もうどうでもいいや。




「私、ブラックと2人でいたいんだよ?」


「……ぅ……オレも、だよ」

「んー? 声が小さいよー?」



 こんなやり取りをまだ人通りの多い場所でしてるものだから次第に人の目に止まり、通行人は私達を取り囲むように足を止めてしまっている。



 また、2人の時間邪魔されちゃうのか。




「……」



「おい、あれサラ様とブラック隊長じゃないか?」

「そうだよ見つめ合って何してんだ?」

「聞いてみろよ」




 ブラックが沢山の人に囲まれるたびに、彼は沢山の人々に愛されているのだと嬉しくなる。



 ……反面、その瞬間は私のことなんか忘れちゃってるのかなぁと寂しくもなる。


 絶対に、ブラックには知られたくない子供じみた嫉妬心。



 また、その感情を抱く時が来るんだ。

 現に私達を取り囲んでいた人達は徐々に近付き、話し掛けるタイミングを見計らっているんだもの。




「あーもうっ、バカヤロー!!」


「!」



 突然大きな声を上げたブラックにびくついてしまった。






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