Present
キミが好き - 4
空いている掌で自身の口元を押さえているブラック。
残念ながら、それだけでは彼の顔がどれだけ真っ赤になっているかを隠せてはいない。
「ブ、ブラック?」
「!!」
顔や耳はもちろん、首筋や腕、全身を真っ赤にしたブラックに先程の勢いは皆無だった。
そんな彼を見てたら、逆に私が冷静になってきた。
「ブラック、さっきの……」
「ち、ちげぇぞ! いや、違くないけど何だ、口が滑ったってゆーか勢い余ってってゆーかさ!」
いつもの自信家ブラックはどこに行ったのだろう。
わたわたと慌てる彼を見て嬉しくなった。
『オレのサラ』
この言葉に対しての気恥ずかしさに、愛しいという感情が勝った。
「サラ様」
「ん?」
「……」
二人組の片割れが私の耳元でそっと囁いてきた。
さっきまで怒ってたブラックは今、そういうのを咎める余裕すらないみたい。
「ありがとう」
「いえ」
彼ににこりと笑いかけ、ブラックの掌に自身のを乗せると、熱い掌が重なった。
そしてこちらを見ている沢山の人達へと視線を流して、ドキドキしている胸を押さえて深呼吸。
よし。
「ブラックは私のだから、これ以上は貸してあげないんだから!」
言うだけ言って、ブラックの手をひいてその場から駆け出した。
は、恥ずかしいっ……!!
私達の背中には先程の二人組の豪快な笑い声だけが届いた。
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