Present
キミが好き - 3
ブラックの発した言葉を頭の中で何度も反芻した。
「え、え、えぇぇぇ?」
何も考えられない。
『オレのサラ』
頭の中でさっきの言葉がぐるぐる回ってる。
私を混乱させてる張本人は顔を俯かせてどかどかと近付いてきている。
ばかばか。こんなに沢山の人がいる中で何言ってるの。
「うぉい!」
「………な、何でしょう」
「!」
私の手を掴み、そして隣にいる男の人を見上げている気配がする。
掴まれた私の手が熱いのか。
それとも、ブラック自身の掌が熱いのか。
そんな事さえわかんないくらい、混乱している。
「オレが遠慮してんのにお前らが触ってんじゃねぇよ!!」
「は、はぁ……」
「そらどうもすんません」
混乱してる私には、彼の言葉の意味がわからない。
あぁもう、なんで皆してこっちを見てるの。
沢山の視線を浴びながら私は小さくなった。ブラックは何をそんなに怒っているというの。
「けど」
「ァんだよ」
ブラックに詰め寄られながら、男の人は声を震わせていた。
そんなに彼が怖いのか。
彼は今、どんな表情で、どんな怒りをオーラを纏っているのか。
「ブラックさん、アンタ今めっちゃくちゃ恥ずかしいこと口走ってんの気付いてる?」
「………は?」
沈黙。
しばらく経っても誰も口を開こうとしないから、顔を上げてまずはブラックを見た。
「……ッ、!!」
そこにあったのは、私が初めて見る彼の姿。
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