Present
キミが好き - 2
「だぁー!! いい加減にしろ、お前らっ!!」
「「「あ」」」
ブラックの一際大きな怒鳴り声で人垣が崩れた。
そして荒ぶる獣を警戒するかのように、周りを取り囲んでいた人々はじりじりと彼から距離を取りはじめた。
ようやく彼の姿を確認できてホッとしたものの、その形相にギクリとした。
「めちゃくちゃ睨んでるな、こっちを」
「だな。我らは逆鱗に触れたか」
「え? え?」
意味がわからないまま彼らとブラックを交互に見てると、またもや怒りを孕んだ声音で「オイ」と言うのが聞こえる。
さっきまで和やかな雰囲気だったその場は、一気に険悪がムード漂っている。
大股で近付くブラックが何に怒っているのかがわからなくて不安になった。
私、彼に何かしたの?
「オイお前ら!! オレのサラに気安く触んじゃねぇ!!」
「…………え?」
先程以上に顔が熱くなった。
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