Present
それならば、月 - 9




「頭を抱えるほど悩むことでもないですよ。相手の目を見て笑えば、それはもうお友達になったのも当然です」

「……なんでこうもサラの拾ってくる人はおかしな人が多いのよ」


 リサは肩を竦め、レーイから視線を外すと歩き始めた。
 その姿をレーイは目で追っていると、リサが不意に振り向いて叫んだ。


「ついてきなさいよ! 早く!」

「あ、はい!」


 レーイは足を踏み鳴らして歩くリサの後を追いかけ、彼女の気持ち後方について歩いた。
 リサの金に近い茶色の髪の毛が感情の高まりによって強い光を放ちながら揺れる。
 真っ直ぐ前を見据える彼女の瞳は赤く燃えていた。

 強い人なのだろう、とレーイは思った。
 リサは通路の真ん中を堂々とした姿で歩き、それはとても自信に満ち溢れていて思わず目を惹きつけられる。
 しかし強い人は、強さゆえ儚い。

 レーイはリサの進みが次第に緩まったのを感じ、足取りを緩めた。
 どこかから青年と少女の声が聞こえてきた。


「鬱陶しい奴め! 気安く私に触れるな!」

「怒っている顔もかわいいなぁ」


 リサは青年の、レーイは少女の声にそれぞれ反応した。



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