Present
You Are - 3
そっと、彼の傍にある椅子に座る。
昼下がりの風に揺れる漆黒の髪。
いつもとは違う、無邪気な寝顔があらわになってる。
『ブラック、また上級生とやり合ったらしいわよ。理由はわかんないけど……ド派手にやっちゃったって』
『……怪我は?』
『それもわかんない。ったく、いい加減にしてくんないと……どんだけ心配かけりゃ気が済むのかしら』
リサに手を取られ、ここに辿り着くまでに聞いたこと。
今も穏やかな寝息をたてる彼の顔は綺麗で、怪我はないとわかる。
薬品独特の匂いがする、ここは。
レジェンド学園の保健室。
いつの間にか1番奥のベッドは、ブラック専用になる程常連になっている。
喧嘩の絶えない彼。
理由を問いただしてみると、いつもさりげなく逃げられる。
「私じゃ……支えになれないから、かな」
知ってるの。
リサやテッドには喧嘩の理由を教えてること。
ねぇ……どうして私には何も言ってくれないの?
「あの頃と……、何も変わらないのにね」
いつもの勝ち誇ったような笑顔とは違う、幼い寝顔。
あの頃も、ううん、あの頃からずっとずっと、ずっとずっと、あなたの支えになりたいって思ってた。
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