Present
それならば、月 - 7




 レーイはようやく口を開き、ゆっくりと微笑んだ。


「私は私の姫様を捜しているだけで、サラさんに危害を加えるつもりはありません。どうかご安心を」

「ね、リサ、羊さんだってこう言っているんだし――」


 レーイの言葉の後に続くように言ったサラの言葉はリサによって遮られる。


「だからサラはお人好し過ぎるって! もうちょっと人を疑ってよ!」


 リサは僅かに睫毛を伏せて視線を横に流し、唇が小さく震えた。


――ごめん。


 しかしリサの声は小さすぎて二人の耳に届かなかった。


「初めまして、優しい心をお持ちのリサさん。私は本当にサラさんに危害を加えるつもりはありませんよ。しかし……どうしたらそれを信じてもらえるでしょうか?」


 レーイは子どものように首を傾げたが、よい案が浮かばず今度は逆方向に首を倒す。
 しかしすぐに何か閃いたような表情を顔に浮かべると、リサの右手をそっと手に取り、手の甲に唇を寄せた。


「ちょ、ちょっと! アンタ、今なにしたのよ!?」

「なに、と言われれば、そうですね……誓いの口付けですね、はい」




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