Present
それならば、月 - 6
「あのう、貴女にご迷惑をお掛けしてしまうのは本当に申し訳なく思うのですか……私の姫様を捜すのを手伝っては頂けないでしょうか?」
レーイの言葉にサラは顔をパッと上げ、不安が溶けて少しずつ微笑みに変わっていく。
そして詰まっていた言葉もするりと抜けて、微笑みが満開を迎えた。
「はい! 私でよかったらお手伝いさせて下さい!」
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「あっ! サラ、やっと帰ってきたのね。もう聞いてよー、テッドったら――」
「リ、リサ!」
「なによー……ってこの人いったい誰?」
サラにリサと呼ばれた女の子は、露骨に嫌そうな顔をしながら鋭い目付きでレーイを見た。
「リサー、そんな態度したら羊さんに失礼だよ。悪い人じゃないよ」
「サラはお人好し過ぎるの! 羊っていう名前も胡散臭いわ。怪し過ぎる……」
リサは疑いに目を細め、胸の前で腕を組んだ。
「私の姫様が私を羊と呼べば、私の名前は羊です」
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