Present
それならば、月 - 3




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 レーイは、視界の隅に見慣れた輝きを見つけた。
 男は黄金の光を放つ髪の毛だけを見つめながら、人々の間を器用に通り抜けていく。

 レーイとその人との距離は確実に縮まっている。
 レーイは手を伸ばせば届く距離になると、その人に向かって優しい音色で呼びかけた。


「探しましたよ」


 レーイは言葉を発するのと同時に、その人の長い髪の毛からのぞく華奢な肩に手を置いた。
 その人の肩は力を入れれば簡単に壊れてしまいそうだった。

 その人が振り返り、眩しい光を放つ髪の毛が円を描いて運ばれていく。
 レーイは小さく息をつまらせ、反射的に手を引っ込めた。


――違う。


 振り返ったその人は美しい少女であったが、レーイが探していた少女ではなかった。

 よく見てみれば、レーイの探している少女とその人は似ても似つかない。
 穏やかに波打つはずである髪の毛は、癖一つなく真っ直ぐに伸びて、背丈も思っていたより高かった。

 そして一際異なるのは眼差しであった。
 その人の瞳は水色で穏やかな光を宿し、見るものの心を落ち着かせる。

 レーイの知っている少女の眼差しは、ちくちくとした軽い刺激を心に覚えるのだ。



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