Present
オニキスの少年 - 12


 焚き火の中の薪が崩れ落ちた音がして、あたしは我に返った。
 ウトウトしていたみたいだ。
 火が先ほどより小さくなっている。


「もう、寝るか」


 ブラックの声に反応して、黒い瞳を見て気付いたけど、いろんなことがあって、あたしの体は結構疲れているみたい。
 返事の代わりに欠伸がでて慌てて、手で口元を隠したけどもう遅くって、大きな口だなって黒い瞳を細めて笑われてしまった。

 口を尖らせて軽く睨んでやるのだが、相変わらず笑っていて、その笑みを保ったままブラックは小さくなった火を消した。

 その瞬間から音もなく闇が滑り込んできた。

 しばらくすると暗さに目が慣れて、ぼんやりとだが暗闇の中でも物の姿が見えてくる。
 焚き火の跡、あたしの手、そしてブラックの姿。

 入り口の隙間から見える空には星が瞬き、時折風が吹き込んできた。
 暖められた空気が冷えてきて、膝を寄せ二の腕を擦り少しでも暖を取ろうと苦心していたが、風に当ると努力も虚しく温かさは消えていってしまう。

 不意にくしゃみが飛び出てきた。


「寒い、のか」


「ん、大丈夫だよ」


 鼻をすすり鼻声で返事をするなんて、あまり説得力のない気がするが、ブラックは、そうか、と一言呟いただけでそれ以上何も言わなかった。




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