Present
オニキスの少年 - 4


 あの戦いはブラックが遊びと言った、その言葉のままだった。
 闘ったことなどないあたしでさえ、あの黒い瞳の少年は強いとわかる。


「やっぱり雑魚は数で勝負なわけ?」


 あたしたちは先ほどのイノシシのような獣に囲まれ、敵意むき出しの目が四方八方からこちらを見ていて、よだれが鼻を突く。


「リリアンといったな! お前も手伝え! 攻撃魔法の一つや二つは使えるだろう?」

「そんなの使えない!」


 あたしの声など届いていないだろう。
 ブラックはすでに一体仕留めて二体目と対峙していた。

 黒髪から目を逸らし、こちらに牙を向ける獣に視線を定め、これが夢ならば思い通りになるはず、と箒を強く握り締め目を瞑る。
 何でもいいから、とりあえず火!




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