Present
相互記念画オマケ話 - 3
「ほら、着てみたくなったであろう? 心配するな、我が弟よ。これはあおいの分さ」
手渡された兄さんのTシャツ。
相変わらず俺を見て笑っている。
「こんなもの着ることできるか!」
Tシャツを投げ捨てて俺はそっぽを向いた。
「一回でいいのだ。着てみてくれないかね」
兄さんは俺の足元に落ちたTシャツを拾い上げ、少し寂しそうな笑顔を浮かべてそれをまた俺の手に掴ませた。
「一回ぐらい着てあげればいいじゃない! 冷たい男ね、アンタは!」
リリアンが俺の右脇に立って睨み付ける。
「お兄様のために一回着てあげてよー。お姉様も頼んでいるよ?」
ララが俺の左脇に立って見上げる。
正面には兄さん。
三人の視線に耐えられなくなって俺は一つため息を漏らした。
「……わかったから」
俺の言葉を聞いた三人は喜びの声を上げて手を取り合う。
「じゃあ着替えてくるから」
兄さんのTシャツを持ってその部屋をあとにした。
- 23 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
【戻】