【待ち伏せの木曜日】
朝、けたたましい音を聞き目を覚ました。
音の正体は私のセットした目覚ましさんである。
ふっふっふ、ジンめ。起きている私を見てきっとびっくりすることだろう。
私は知っている。昨日の夜ジンが私の目覚ましのスイッチを切りにきた事を。
そんなの枕元にある止まった目覚まし時計を見れば一目瞭然である。
しかし残念だったな!昨日私は、
目覚ましをふたつセットしていたのだよ!ふはははは!
私は高笑いしたあとベッドから出ると、素早く着替えてリビングへ急いだ。
そこでしばらく座って待っていると、ジンがやってきた。目を見開いて驚いている。してやったり。
「あれ、昨日目覚まし止めたはずじゃっ…!」
「ふふふ…おはようジン、今日も森にいくんでしょう?」
「……まぁな」
「今日は早起きしたよ、わたしもつれてって!」
そう言ってジンに飛び付くと、
ジンはそれを受け止めつつも時計を見上げ、あきれたように言った。
「お前早起きしすぎだろ、まだ4時だぜ。後で眠くなるぞ」
「ジンも早起きじゃない」
「お前まだ子供だろ?」
「っ、ジンも子供でしょ!!」
ジンはため息を吐いた。
最近多いことだ。ため息吐かれたり呆れられたり。
あんまり良いことじゃない気がする。
「しょうがねーなぁ…」
「!!つれてってくれるの…」
「今日はやめとく」
「なんでよ!!!」
ジンは私の問いを無視して、釣り道具をいじりに行こうとした。
私も、引きずられるようにしてジンに抱きついたままそれについていった。
ホントに今日も行かないらしい。私の今日の早起きをどうしてくれるの!!
二度寝しようかと思ったが、きっとジンはその間に出掛けてしまうので我慢した。
起きてきたお母さんに「今日は早起きね」と誉められたがあまり喜べなかった。
外に行きたい。でもジンがいないと私には危なすぎるし、何しろジンがいないとつまらない。
私はジンと遊びたいのだ。
仕方ない、今日もお部屋で遊んでもらおう。
トランプにしようか、積み木のお城作ってもらおうか、何しようかな。
ねぇジン、釣り道具じゃなくて早く私と遊んでよ。
一日は長い。寝てしまないように、おいてかれないように、頑張ろう。
130127
待ち伏せの木曜日
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