【置き去りの水曜日】
朝、少し遅く起きてみたら、すでにジンがいなかった。
「おかーさん、ジンは?」
「おはようミト」
「おはよう。ねぇ、ジンは?」
「あなた最近そればっかりね」
前からか、と呆れたように笑うお母さん。中々ジンの事を教えてくれない。
多分わざとだろう。結構じれったい。我慢できなくなって私は急かす。
「おかあさんってば!」
「はいはい、ジンは朝早起きして森に行っちゃったわよ」
「そうなの!!?」
衝撃的な事を聞いた。あいつとうとう裏切りやがった…!
私を邪魔者扱いしやがって、もうこうなったらホントに邪魔しちゃおうそうしよう。
そうとなったら追いかけなければ、そう思い駆け出そうとしたら、おかあさんに捕まった。
「こらミト、ちゃんと着替えて朝御飯食べなさい!みっともないわよ」
「だって!」
「だってじゃないの!」
ほら、早くなさい!と凄い剣幕で怒られ渋々と着替え、一人朝食を食べていると
ジンが帰ってきてしまった。
「ただいまー」
「ジン!!!」
ガタッと食卓から立ち上がり、どういう事だとジンに詰め寄る。
ジンはそんな私を見て、しまったという顔をした。こいつ…!
「うお、ミト起きてやがった」
「何で先にいっちゃうのよ!」
「お前が起きねーのが悪い」
「起こしてくれれば起きた!」
何で起こしてくれないの!と私がぎゃーぎゃー騒いでいると
騒ぎを聞き付けたお母さんが駆けつけてきた。すごい怖い顔をしている。
「こらミト!食事中に席を立たない!」
「うわぁあ!はい!!」
「そうだぜミト、ちゃんと座れよ」
何であんたに怒られなきゃならないのよ!
ジンを恨みを籠めて睨みつけるが、ジンはそんな事知らんふりで
「もっと早く帰ってくりゃ良かった…」とぼやいていた。
明日はもっと早起きしてやる……!
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置き去りの水曜日
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