【開戦の曜日】


目が覚めてリビングに行くといつものようにジンが出掛けようとしていたので
駆け寄ってぐっと服の袖を掴んだ。ジンはちょっと前につんのめる。私は構わず続けた。


「ジン森いくの?わたしも行くから!」

「げ」


ジンはあからさまに顔をしかめた。あれ、珍しいなぁ。今まで勝手にしろ状態だったのに。
不思議に思って首をかしげるとジンはふいっとそっぽをむいてきっぱりと言いはなった。


「ダメ。邪魔だ邪魔」

「えっ何で!?い、いつもはダメなんて言ってないじゃん!」


置いてくけど。
でもこんな風にはっきり駄目って言われたの初めてだ。
なんでなんでと質問攻めするとジンは面倒臭そうに頭をかいた。
ちょっとむかついていると、やつはとうとう言った。


「だってお前転ぶから危ねーし。泣くし」

「っ別にいたくて泣いたんじゃないもん!」

「じゃあ何だよ?」

「…知らない」


でも痛みで泣いたわけじゃないのは本当だ。私別にそんなに泣き虫じゃないし。
ていうか要するに私が足手まといと言いたいんだね、間違ってないけどさ!
でもそんなはっきり言われたら意地でもついていきたくなる。
ジンの袖を掴んだまま離さないでいると、ジンはため息を吐いて私の服を見た。


「大体ミト、お前それまだパジャマだろ?とりあえず着替えてこい話はそれからだ」

「やだ、ジン絶対わたしが着替えてるあいだに行っちゃうもん」

「行かねーから、」

「誓える?」

「………」

「ほら!」


だったら着替えるものか、私まだ子供だから別にそんなに恥ずかしくないし!


「とにかく!ダメって言ってもついてくからね!」

「うわ、」


何その顔!!そんな顔したって私は諦めませんからね!
そうして靴を履こうとしたら、ジンは靴を脱ぎ始めた。なんのつもりかと見上げると、
ジンは呆れたような顔をしながら私を見た。


「わかったよ、今日はもう行かねぇ」

「ええ、なんで」

「何でも。ミトも今日は止めとけよ、トランプでもしようぜ」


ジンはそう言うと、あっさり部屋に戻っていった。


「……めずらしい」


今日、雪でもふるんじゃないかしら。
そしたらジンは外に行きたがっちゃうから、降らないといいなぁ。
折角珍しくトランプしてくれるらしいし。



こうして、緩やかに私とジンの1週間の戦争が開戦したのでした。


130124
開戦の月曜日
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