朝、知らない人に電車で起こされた。
一番端の席で、こっくりこっくり船を漕いでいた私に声をかけたのは、本当に、全く知らないおばあさん。私の制服を見て、降りる駅だと気をつかってくれたのだろう。私は慌てて飛び起きて、おばあさんにお礼を言うと、電車を飛び降りるようにして下車した。
いつもは、同じ電車通学のうちの学生達が一斉に降りる気配で自然と起きるのだけど、少しずつ生活に慣れてきているからだろうか。ついたことに全く気づかなかったし、声をかけられるまで深い眠りの底にいた。おばあさんには、本当に感謝だ。おかげで遅刻しなくて済んだのだから。

そんな話を校門の前で会ったコルトピくんにすると、ものすごい変な目で見られた。呆れたような、ドン引きしてるようなジト目。私はふい、とそんなコルトピくんから目をそらして、あーあ、と大きく欠伸をする。
なんでだろう。どうしてかねむいんだよなぁ。そう言って、後ろで手を組みながら歩く。コルトピくんは「夜遅くまで起きてるんじゃないの」と言ったが、そんなことはない。たっぷり7時間は寝ているはずだった。
それなのに、本当にどうしてこう毎日眠いのだろう。早くに布団に入っても、夕食前にたっぷり昼寝をしても、どうしてか、毎日ひどく眠い。ひょっとしたら、夜の眠りが極端に浅いのかもしれない。



「このままじゃあ、授業中も寝ちゃいそう……」

「言っておくけど、ぼくはノート見せてって言われても見せないから」

「えー!」



思わず声を上げてコルトピくんを見ると、涼し気な顔でしらんぷりしている。ちぇ。なんだよなんだよ。コルトピくんはけちだ。



「じゃあ、私が寝てたら起こしてね」

「いいよ。机蹴ってあげる」

「ウソだ、コルトピくんてばそんな乱暴な人だったの……」

「……憂にだけだよ」



それは、喜んでいいのだろうか。
思わずコルトピくんを見下ろすと、コルトピくんはなんてことなさそうな顔をしている。それを見て私はしばらくうーんと考えたが、やっぱり良くないんじゃないかと思って、コルトピくんに言うとっておきの抗議の言葉を考えた。何を言っても彼は何処吹く風だろうけれど。

171228

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