ある夜のこと。眠っていた私は、自分がベッドの上ではない場所にいることに唐突に気が付いた。
とても不思議な場所だった。それは、どこまでも続く黒い世界。インクをぶちまけたかのように塗りつぶされた黒の中、私は、前も後ろもわからないまま、身動きひとつ取れずにひとりどこかに放り出されている。
明らかに普通じゃなかったけれど、何故か不安は感じなかった。しかし、なんだろう。なんだか熱い────身体中が、痛い?
そう気づいたら、途端に地獄のような苦しみに襲われた。嗚呼、痛い、苦しい、体が軋む、引き裂かれる────そうした気の遠くなるような痛みに苦しくて苦しくて喘ごうとした声は、掠れてなんとも醜いものだった。ああ、そうか。私は、きっと。



「───────」



私が全てを悟った時、遠くの方で、誰かの声が聞こえたような気がした。その声が何と言っていたのかは、わからない。ただ、それを聞いて私は、何故かひどく哀しく、そして寂しくなったのだ。

そうして何事もなかったかのようにベッドの上で目覚めた時に、泣きだしてしまうくらいに。

140119
修正・170827

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