「ねーえコルトピくん」

「なに?」

「今日わたし委員会の当番なんだけどね、帰り、待っててくれたり……」

「しない」

「ですよね」



私はがっくりと肩を落とした。まぁわかってたよ、断られることくらいね。何せ、コルトピくんは薄情者なのだ。



「昨日僕が声かけなかったら憂は教室で一人ぼっちだった」

「そうですねうそです。コルトピくんは情に厚いよね」



私がすぐに訂正すると、コルトピくんはよろしい、というように頷く。もふもふだった。
コルトピくんは毎日もふもふ。どうしてそんなにもふもふサラサラなのか、私は4月の始めの出会いの日から気になっていたが、実はまだ一度もそれについて聞いたことはない。
何故って、私たちはまだ自分たちについてのいろんなことを語るほどの仲ではないのだ。入学して1ヶ月だ、無理もない。まして彼は男の子。私は男の子と簡単に仲良くなれるような社交的なタイプではなかった。
そうなのだ。だから彼はふしぎだった。こんなにあっという間に、一緒に帰るような仲にまで(今日は待ってくれないが)なるなんて、思い返せば小学生以来のことだった。コルトピくんという男の子は、友達と言うにはあまりに希薄な関係のような気もするが、とにかく、私にとってそのへんの男の子とは違っていた。
ついでに見た目でいえばかなり不思議な人。異様に髪が長くて小柄。謎が多い。いつかその理由や真相についても知っていきたいと思っている。



「憂、委員会水曜日じゃないの」

「今日は火曜日だっていいたいんでしょ?そんなのはわかってるよ……実は今日当番変わってって隣のクラスの子に言われたんだよね」

「押し付けられたんだ」

「そうともいうかも」



何なのだろう。弱い者オーラでも出てるのだろうか。入学後1ヶ月にして早速都合のいいポジションになっている。やになっちゃうね。



「可哀想だから冷やかしに行く」

「やめて?というか、それなら一緒に帰れるじゃん」

「無理。今日は早く帰りたいから」

「そっかー」



ちょっとも靡いてくれないコルトピくんに私は再びがっくり肩を落とす。隣のクラスのあの子の言い方からして、水曜日変わってくれる様子もなかったし、明日も一緒には帰れないのか。別にいいが、早く帰れないことも相まってちょっぴり憂鬱である。
そうして口を尖らせていたら、コルトピくんが急に立ち上がった。しかし彼は小柄なので、目線は大して変わらないし、見上げる必要も無い。



「え、コルトピくんどこ行くの」

「ジュース買いに行く」

「私も行く!」

「いいけどちょっとうざい」

「別にコルトピくんについてくわけじゃないよ!私もジュース飲みたかっただけだもんね」

「ふーん」



その目、信じてないな。コルトピくんの自信過剰め。

171112

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