わん!

「それで?用事って何だい、i子」



あたしもう眠いんだけど、と欠伸をしながらマチは言う。この人悪党なのにもう眠いとかいい子だなおい。まだ9時だよ。
マチだけではない。その隣でシズクもうとうとしていた。そして私が予め敷いておいた布団を指差し「あの、もうここで良いんで寝てもいいですか」と妥協感たっぷりに言った。
パクはというと不思議そうな顔で布団を見ていた。

ここは私の部屋。
因みに夜9時に女子みんなに此処に集合するように言ったのは私だ。
ベッドがあるというのにわざわざ布団を沢山床に敷いたのも私だ。
パクは布団を指差し、「お客さんでも来るの?」と言った。
ちっちっちっ



「客は既に揃いましたよ」ドヤ

「どういうこと?」

「良いから早くしろ勿体ぶるな」

「もう眠いよ、9時過ぎちゃってる」



だから、あんたらどんだけいい子なの。
マチは既に殺気立っているし、シズクも布団に勝手に潜ろうとしている。でもまぁ良いさ。だってみんなの為に準備したんだもんね!
たっぷり勿体付けて満足した私はゴホン、と咳払いをすると、声高らかに言った。



「ようし今から皆でガールズトークしようか!!!」



隣の隣くらいの部屋からうるせぇ!!!と苦情が聞こえた。
この声、ノブナガか。あいつも早寝してやがんのか……皆何なんだろう。最近は小学生もこんなに早く寝ませんよ。

マチはイライラした様子で帰ると言い出した。
私があわてて止めようとすると念糸を出してくる。かなり怒っているようだ。しかし、私はめげない………!!



「良いじゃない!」

「くだらないよ、良いから寝かせろ」

「そんなこと言わずに!ねーパクも良いでしょ?ガールズトーク!」

「まぁ、たまには良いんじゃないかしら」

「ほら!ほらほらマチさんっやりやしょうよ!」

「(うざい………)」



ギロリと睨まれたが、それを華麗にスルーして何とかマチを布団に引きずり込むと、既に布団に入っていたシズクとパクが「で、何を話すの?」と聞いてきた。ええ、聞くまでもなくここは定番でしょ!



「恋バナだよー!」

「帰る」

「こらこらマチちゃん、帰っちゃ駄目だよ」

「何が定番だ、ていうかガールズトークって何」

「修学旅行といえばこれだよ!!」

「アンタ流星街育ちで世間知らないくせになんでそうくだらない事ばっか知ってんだ」

「くだらなくなくないよ!あれ、どっちだ?まぁいいや!いいじゃん!女の子同士で秘密を共有するんだよ!」

「それって意味あるの?」

「冷めた事いうなよシズク!」

「恋バナって…恋愛の話をするってこと?」

「そうだよ!」

「わざわざ話す必要あるのかしら」

「こらパクまで!そんな事言っちゃいけません!」



どうやら、先ずはガールズトークの素晴らしさから語り明かさなければいけないらしい。
思ったより道のりは長いな……

帰ろうとするマチと眠ろうとするシズクを止めつつ
あと何回ノブナガに苦情を言われなきゃいけないのか見積もった。頭いてぇ。それでも私はガールズトーク作戦をやめない。

130202

 
(2|19)



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