てん!
「最近i子またうるせえな」
「え」
マチ、パク、シズク、フェイタンによって大出費させられる事件があった次の日の朝、ぼやくようにそう言ったのはフランクリンだった。
いや、その、うるさいの私だけじゃないです。フランクリンの安眠妨害をしたのは、少なくともシャルとマチ達です。
いつもだったらもう少し賑やかに「うるさいの私だけじゃないからああ!」くらい突っ込む私だが、今日の私にそのような元気はなかった。僕もう疲れたよ。なのだ。寝不足なのは私も変わらない。
「私も困ってるんだよ。そんなにうるさいと思うなら元凶を潰してよ」
「おお!そうだよなフランクリン!こいつうるせえよな!」
「聞けノブナガ」
仲間を見つけたというふうにキラキラした目で騒ぎ出したノブナガに一番言ってやりたい。
私だけじゃない。私だけじゃない。私だけじゃない。私だけじゃない。私だけじゃない。私だけじゃ………
呪いすらかけれそうな勢いで心の中で同じ言葉を繰り返す。そのとき、たった一人の味方が現れた。
「そうかぁ?俺ぁ全然気になんなかったぜ、いつものことだろうが」
「!!…ウボォー…!!!」
私はウボォーの一言で呪いと眠気の沼から解放された。ぱぁあっと気持ちが明るくなって思わずウボォーに駆け寄る。
そしたら何と、「元気なのはいい事だぜ」と頭をがしがし撫でられた。ウボォーさん、優しい…!兄貴…!!
「ウボォーだけだよそんなこと言ってくれるの!」
「おーおーそうか、あいつら冷てぇなぁ!」
「ウボォー、そいつは元気だとかそんな可愛い言葉じゃ収まらねえよ」
そういったフランクリンに、そうだそうだ!と続けるノブナガ。うるさいのはお前だ。
そして、そんなうるさいノブナガに便乗するようにマチやシズクがしゃべり出した。
「そうそう、i子は煩い上にノリがうざいよね」
「本人の前で堂々と悪口言うってどうなのシズク!?最悪!極悪!毒舌にも程がある!」
「ああ、ほら、昔1回…何だっけ?何かのバンドにはまった時、真夜中なのに急に熱唱しだしてさ」
マチの言葉に、今度はコルトピが手を挙げた。
「僕その時、あまりのうるささにi子の部屋に乗り込んだ」
「そ、そんなことあったっけ…」
「そしたら頭ものすごい勢いで振りながら歌ってたから、何かに憑かれてるのかと思って殺してあげようかと思った」
「えっうそ危な!!実行されなくてよかった…」
「あー、それはうるさかったなそういや」
「ウボォー!?裏切るの!?」
そんな、酷い!私だけじゃない、私だけじゃない、私だけじゃない、私だけじゃない、私だけじゃない、
今回とか特に私だけじゃない。前科があるからって私に罪を着せるとか酷過ぎるてかなんであいつら
自分のこと棚にあげて私の悪口いってんの…!?処すよ、処すよ?
どうしてやろうか、そんなことを考えながら、私だけじゃない、私だけじゃないと繰り返していると、今まで黙って本を読んでいた団長がふいに顔をあげた。
「i子」
「えっはい!」
「ほどほどにな」
…………
怒られた……
「怒られてやんの」
「ざまぁ!」
「」
えっマジムカつく言葉が出ない。
ていうか団長、他人事みたいに言ってるけど今回の件、突き詰めれば元凶はあんたなんですよ!!
140104
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