えいと!
一日が終わり、部屋に帰った私はシャルから受け取った写真を広げ、頭を抱えていた。
前転の構えをしている団長、
フラフープを構えている団長、
フラフープ失敗して地面に落ちたフラフープを物悲しげに見つめている団長、
地面に落ちたフラフープはそのままに考え込む団長、
ジョジョ立ちしている団長……………
写っているのは確かに全て団長だった。
でも、信じられるはずもなかった。だって、いつもクールで何でもできるいかした団長が…こんな!!
考え過ぎて痛くなってきた頭を押さえる。どうしたもんか。
そうして写真を凝視していると、部屋のドアが開いた。はっとして時計は9時をちょうど指している。
言わずもがな、女性陣の登場であった。またきたのか…あっやべっ布団敷いてない。
「i子、がーるずとーくの時間よ」
「ちょっと、ちゃんと布団敷いとけってあんた何度言ったらわかるんだい」
「わわわわかったよまっちゃん、そんな拳を構えないで。てか何で私が布団しかなきゃいけないんだよ」
「本当に、i子は気が利かないんだね」
シズクの憐れむような目になんかイラッときた。思わず殺意がわく。
それに気づいたシズクがデメちゃんを出して臨戦態勢をとってきやがったので、やんのかこら、と私も武器を取り出した。
そしてマチに殴られた。何でだ!!!
「マチはいっつも私にだけ厳しい!悪いの私だけじゃないもん!!うわぁぁあん」
「嘘泣きやめろ。………あれ、これ何?」
私がせぼあぁあと泣き真似をしていたら、
マチが床に落ちていた写真を拾い上げた。
「あ」
「……これ、」
ぱぁあっとマチの顔が輝いた。
それを見たパクとシズクも写真をのぞき込む。
そしてマチと同じように、きらきらと目を輝かせた。
「なんでi子のくせにこんないいの持ってるの?」
「何でシズクは今日喧嘩売ってくるの?そういう気分?」
「i子、これどうしたの?」
「シャルから買った」
そう言うと、マチがばっと顔をあげた。
そしてすごく真剣な顔で拳を握り締めた。
「よくやっ……盗撮なんて信じられないね」
そう言いながらも大事そうにぎゅっと写真を抱きしめたマチに、二人も続ける。
「そ、…そうね」
「うん…シャルのとこ行こうよ」
「ああ…シめよう」
ゴキッ
ヒュンッッッ
「……ん?」
え?何か急展開すぎてついていけないんだけど…
ゴキリと骨を鳴らして風のように部屋を出ていった3人。
向かったのは何処だろう。え、しめる?だれを?
ああ、団長を盗撮したシャルか。シャル!?
「あわわわわわわ…」
やばい事になった。3人とも喜ぶだろうなとは思ったけどまさかシャルをしめる方向に行くとは考えてなかった。
シャルがボコられるのは一向に構わないのだが、心配なのはその後だ。あの人後で絶対私のこと恨んで嫌がらせしてくるよ。そうに違いない。嫌だ。
私は、三人を追いかけて走り出した。
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