しつけとせいさいと 耐えられない。 あれから三日がたったが、相変わらずあいつは無礼でぼくのごはんを食べてしまうし、あれから奴隷にも一度も会わせてもらえなかった。 信じられるか?このぼくが、あんな男の侮辱ともとれる行為を許さなきゃいけないなんて。あいつは可笑しい、どうかしてる。あんなに世の中をしらない奴は初めて見た。 上下関係もわからないなんて奴隷以下だ…今もぼくの部屋をドンドンと無遠慮にノックしているし、もうあんなやつの生徒なんていやだ。このままじゃ王になれなくなってしまう。 せっかく、前の先生に教えてもらったことが全部無駄になっちゃうんだ。そんなことあってはならない。どうにかしてあいつの目にものを見せてやって、ぼくの前に膝まづかせなければ。
「ジャミル様、いつまで寝ていらっしゃるんですか?起きてください」
「………」
「ジャミル様…あの、だ、大丈夫ですか?もしかして倒れてたり…これはもうドアやぶっても、」
「っう、うるさいっ起きてる!ちょっと具合がわるいから、今日はほっといてくれ!!」
ぼくがそう怒鳴ると、音がやんだ。
「なんだ、よかった。お邪魔してすみません。ゆっくり休んでくださいね」
そんなおだやかな声がして、あとで食事をもっていきますね。とやさしく言われた。明らかに嘘なのに、今日はずいぶんと聞きわけがいいなと思った。 まあ、何でもいい。今日そうでも、今までそうじゃなかったんだ。今までのことが許されるわけじゃない。ぼくが、世の中を教えてやらなきゃ。 ぼくもずいぶん親切だと思う。普通なら死罪なのだ。ぼくに逆らうなんて。
「………そうだ」
得意の王宮剣術で、あいつに大怪我をさせてやろう。あいつくらいの奴は、痛みがないと心をあらためない。先生が言ってた。死罪じゃないだけシュウは幸運だ。ぼくに生かされていることにせいぜい気づき、平伏せばいい。
「……よぅし!!」
ぼくは部屋にあった剣を手にとって、あいつの元に駆け出した。
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