突然だが私の上司のサカズキさんは私のことがとても嫌いである。私が喋ったり生活したりしているのが目に入るだけでいつも駆逐したそうに拳を握り締めて私を睨むのだ。たまに何をしてもしてなくても怒られる。こわい。ちびる。乙女の危機だたすけてだれか。



「わしゃあ何もお前がきらいだとは言うとらん」

「えっほんとにです?」

「いくら正そうとしても治らんそのだらしない性格が気に食わんとは思っちょる」

「じゃあやっぱサカズキさんはわたしのこときらいだぁ」



寝癖をちょいちょい弄りながらぼそりと言うと、
サカズキさんは私の手から取替中だった花瓶を突然とりあげて、そしてばしゃっと中の水を私にかけた。



「…………」

「…………」

「…寝癖治ってます?」

「ああ」

「ありがとうございます」



サカズキさんはふんっと馬鹿にしたように鼻で笑った。そりゃムカつくがサカズキさんなので許されるし許さなきゃいけない。サカズキさんは偉いのだ。私を殺す権利すら持っている。
私のことが大嫌いなサカズキさんが何故それをしないかといわれると、たしかに〜って感じなんだけど、まぁ私の予想的には、私がサカズキさんの命令に逆らうこともサカズキさんに意見することもしないからだろう。ふざけてるとは言われるけど。
因みにふざけたら結構本気で殴られる。痛いのである。しばらくたんこぶが残る。口から血もはく。部下に暴力なんて怖い上司だ。暴力反対。
とにかくそんな感じで、とても厳しいのでクザンさんの元についていた時とは大違いの対応に初めはびっくりした。クザンさんの元に戻りたくもなった。クザンさんが恋しい。
でも、元帥がクザンさんにつくことを許してくれないんだもの。クザンさんと仲良しこよしして勝手にでかけたりサボタージュしたり、ふざけていたことを誰かにリークされたから。ふざけんな。
元帥的には私のこのふざけた性格をここでついでに矯正したいらしい。いや、ほんとはクビな感じなんだけどクビにならなかったのは本当にクザンさんとか元帥の温情なのだ。
私は、かなり譲歩してもらった上でサカズキさんの元で働くことになった。ので大人しくしてなきゃいけないしサカズキさんが偉いので逆らえない。そんな私を今日もサカズキさんはいじめてくる。
ひどい人だ。因みに私はそんなサカズキさんの弱みを探すためにサカズキさんの元で日々奮闘している優しい海兵だ。

髪をタオルで拭きながらサカズキさんを見上げると、相変わらず少しでも生意気言ったら殴るみたいな感じだった。こわいなぁ。しんじゃう。



「明日からいつもより一時間早く起きろ」

「はーい…」

「しゃきっとせい」

「はい」


160226
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