今日もクソ豪華なソファのど真ん中に座ってふんぞり返っているルッチ。
そんなルッチをガン見しながら、私はとうとうずっと彼にいいたかったことを告げた。



「…前から思ってたんだけどさぁ」

「………」

「わたしルッチの足まじ好みなんだよね、足だけ好み、足好き!」

「離れろ」

「えっこれ以上離れろってこの部屋から出てけってことかな?」



因みに私の背後は扉である。一歩下がって扉にぴったりと背をつけると、ルッチはワインを煽った。偉そうさに磨きがかかるな。なんだかちょっと怒っているみたいなので一応弁解。



「別に脚フェチとかそーいうんじゃないのよ、ただちょっとすらっとした細くてしなやかな脚に興味関心が強く興奮をおぼえるだけで」

「それで違うとよく言えたなバカヤロウ」

「今後の研究のために触らして?」

「おい、それ以上近づくな」

「まだ一歩も動いてないよ…」



話を聞く気すらないルッチ。
話くらい聞いてよ、と訴えると、お前がなと言われた。はて。
首をかしげてから、私を完全に拒否するルッチの態度に、私はひとつため息をつく。



「いーじゃない何も減らないよ?卑猥なこともしないしただ私が満足したいだけでね?大体いつも敵には惜しみなく触らせてるじゃない!」

「いつのはなしだ」

「触らせまくりじゃん(蹴ったりとか踏んだりとか)ルッチのびっち…はっ!!ルッチのびっちって……韻を踏んでる!!」

「なんだ?蹴られたかったのか?踏まれたかったのか?」

「足上げないで。そういうことを言いたいんじゃないの。私はね、そのどちらでもない新たな選択肢を私だけにほしい。私敵じゃないし優しく触らせて!サービスしてよ!ほら、触らせておくれよルッチ!」

「……………」



とうとう無視された。



「カリファちゃんは快く触らせてくれたよ……ルッチのけち。はっ…ルッチのけち…またしても韻を踏んでる!!!もう踏みまくり!!」

「………」

「………」

「まぁ私はそこらの男よりずっと紳士的だから無理やり触るようなセクハラなまねはしないよ…とりあえず触らないから近づいてもいい?」

「なにか企んでるだろう」

「ええなんで!?今私変な顔してた?言っとくけど企んでないよ!視姦することにしただけ!」



言い切ったあと、私の本能が何か私に告げたので、すっと顔を横にずらした。瞬間、ついさっきまで私の顔のあった場所をルッチの指がぎゅいんと風を切って通る。間合いをつめたらところかまわず指を突っ込んでくるので油断大敵だ。ぜったい今のは顔狙ってた。



「女の子のお顔狙うのはどうかと…」

「目を狙っただけだ」

「まさか視姦しようとしたから?なんてこわい!これは触ろうとしたら腕持ってかれる可能性!」



もういいカクの触りに行く!!ルッチのばーか!!
そう言って離れようとしたらぐいっと手を掴まれた。



「おっなになに、触らせてくれる気になった!」

「なるわけ無いだろう、いい加減人に迷惑をかけるな」

「ルッチがそこまでカク思いだとは思ってなかった…なんなんですか!じゃあ見るくらい許してよ!静かにしてるから」

「勝手にしろ」



なぁんだ、静かにして欲しかったのか!じゃあもっと早く言ってよね!

わたしはるんるん気分で足音のないスキップをしてルッチの隣に座った。
そうしてぱたぱた足を揺らしながらルッチの足と自分の足を比べていると、こちらをチラリとみたルッチがどや顔でゆるりと足を組む。
流石にどや顔にはむか、というかもやっときたけれど、組まれた足に目を移すと、成程と頷く他なかった。
ルッチはほんとにいい足してる。胸の高鳴りで、怒りはすぐに収まった。


151023
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