クロロ成り代わり | ナノ
犠牲者は鎖使い

アジトに帰る途中でウボォーさんが目を覚ました。
やばい怒ってたらどうしよう。悪気はなかったとはいえ仲間吹っ飛ばしちゃったし…
ここは正直に謝るか?やっぱり流石にこれは人として謝るべきかな。ウボォーさんは未だに状況を理解していないのかキョロキョロしている。
そして私と目が合うと驚いたように目を見開いた。



「…あり、団長?」

「ああ」

「あー…俺何でこんな傷だらけなんだっけか」

「……さぁな」



ラッキー!!良かったウボォーさん怒ってないみたいだ!!
というよりは覚えてないみたいだ!助かった…キレてたらどうしようかと………
ホッと胸をなでおろす。しかしそれもつかの間、突然ウボォーさんが思い出したかのような、ハッとした顔をした。何事。
怪訝そうな視線を送ってみるがウボォーさんはそれを無視して、息を思いっきり吸い込み、



「っくそぉぉおおおおおお!!!」

「ええええい!?」



叫んだ。いや雄叫びをあげた。
うるせぇぇえええ!何だよ、何なんだよ!変な声出ちゃったよ!大の男がええいってなんだよ!
急にでかい声出しやがって…!……あれ?何かやっぱりウボォーさんキレてないか?



「思い出したぜ、あの鎖使い…!!」



うわぁキレてた!!マジギレだよ!!思い出しちゃったのかくそぅ!!
いや、ウボォーさんマジごめんなさいそれ鎖使いってか殆ど私が……



「必ず借りは返すぜ!!!ケリをつけなきゃ気がすまねぇ!!!」



あっ言えない。私がやったなんて言えないよ!
言ったら絶対私ここで生涯終えちゃうよ!



「団長止めるなよ、俺は鎖野郎とケリをつけてくる」

「ああ、うん……」



止めたってアンタ言い出したら聞かないだろ。無理だ、私にはいろんな意味で無理だ。
ごめんね鎖野郎とやら…私の力不足だ…それに私はやっぱり他人より自分が可愛かったよ……
それに、それにさ、これは自業自得だ。よりによってウボォーさんを誘拐したお前が悪いよ。
うん、そうだ、私は悪くない。クロロは充分頑張りました!

走り去ったウボォーさんを見送った後、街のある方角に向かって手を合わせた。
尊い犠牲を払って、私は今宵も生き延びました。ありがとう鎖野郎、ごめんね鎖野郎。
アーメン。


130120

prev next


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -