クロロ成り代わり | ナノ
水面下の支配者

一応私も指示は出したけど、案の定途中からシャルが全部出してくれた。
まぁそうだよね。オークション襲う計画たてたのアンタだもんね。いや、助かるからいいんだけど私今回マジで要らないんじゃない…?
流石に焦って、あまり気乗りはしないが殺しを最小限にするためにも戦闘に出てやろうかなと思ったら、



「団長がわざわざ出なくてもまだ俺たちだけでやるよ」



お留守番らしい。これは本当に今回仕事しなくて良さそうだ。ラッキーなのか?喜んで良いのかな…何か複雑だ。
…うーん、そもそもみんな何で疑問持たないんだろう、私がほぼ何もしてない事に何の疑問もなしなのは、単に気づいていないのか。
そろそろ気づいてほしい。シャルがトップを握っていることに。

そんなわけで皆さん私を置いて、オークション会場血祭りにしようと意気込んで行ってしまったわけだが。
何て言うかその…気のせいでなければ、私若干お留守番メンバーに見張られてる気がするんだけど…。
気のせいだよね。うん。きっと皆ヒソカを見張ってるんだよ。ヒソカ危険だし。
ああそういえば今ヒソカ居るんだった。道理でやな視線を感じると思った。
ていうかホントに視線が熱い。チラチラ見んな変態、ホモかよ、ああもうヒソカやだなぁすぐ私の事殺そうとするし…
チラッと目を向けると普通に目が合った。ぎゃあ!!チラどころじゃない堂々のガン見かよ!!
軽く引いているとにっこり笑って手をふられた。嫌がっていることがつたわるように盛大に溜め息をつく。もう嫌だ。
外出たい。でも何か見張られているような感じがして、出ちゃいけない空気が漂いまくっている。何てこった。まいった…

という所で電話がかかってきた。



「……誰から?」

「…ウボォーからだ」



怪訝そうに聞いてきたパクは、それを聞いてほっとしたように視線を逸らした。これは空気を変えるチャンス。ありがとうウボォーさん。そう思い、私は即座に電話に出た。
気球の音についで、ウボォーさんのちょっと落胆した声がする。話を聞いてみれば、どうやら品物がないらしかった。予め、陰獣とやらの手によって別の場所に移されていたらしい。

…私達が来ること、マフィア側に気づかれた?それって早速ヤバくないか。只でさえ私達A級賞金首なのに…何でバレた。
ウボォーさんは、背信者がいると言う。しかし私はそれは恐らくないと思った。何でって、お金とか名誉とか地位とか、そんなものでで納得してくれる奴等なら私はとっくにお金とかで言いくるめて仕事を止めるように言ってるからね。借金してでも金渡して解散するからね。



「移した場所は聞いたか?」



冷静にそんな事を言う私。やべぇ私今仕事してる。嫌だった筈なのに話に入れてもらえたからかなんだかテンション上がってきた。
フェイタンが拷問したらしい事を聞いて顔がひきつったが、それでも私は何とか冷静に返事を返す。私は今仕事モードなのである。
自分でもびっくりするくらい知恵が沸いてくる!!
と中々機嫌も良かったのだが。



『戦っていいよな?』



ウボォーさんのその言葉によってテンションが一気にダウンした。えっ無駄な殺生は良くない。
そんなことしなくても後日改めてオークションやってくれるだろうし、大人しくやった方が向こうに情報悟られないと思う。
わざわざそんな奴等と戦う価値ないし放っといていいじゃない。それに万が一を想定したら危ないよ。陰獣って強いんでしょ?



「え、ダメだ」ゴオオオォ

『わりぃ、気球の音で聞き取れなかった。とりあえず後でかけ直すぜ』

「え!?ちょ、待っ…!!」



あっという間に切られた。コノヤロウ。
まずいぞ、ウボォーさんはこっちから電話をかけても気づかない事が多い。故にかけ直しても繋がらない。
このままだとみんなが大暴れして世界中のマのつく自由業の人に追いかけられることに…!いや盗むからどちらにしても追いかけられるけど!
更に厄介な事になる前に止めに行かなきゃしぬ!主に私が!!



「ちょっと行ってくる」

「は?何で団長がわざわざ動くんだ?行くなら俺が行ってくるぜ」



いやいやフィンクス、君が行ったら更に事態は悪化するんだよ。
お前は此処に居てくれと頼むとちょっと不服そうだった。暴れたかったんだね…お留守番やだったんだよね…うん。
そんな大暴れ欲求がバレバレのフィンクスに軽く謝って外に出ようとするが、簡単には出られない。今度は思い出したかのようにパクが言った。



「シャルには言った?」

「ん?」



何でシャル?
嫌な予感がしてパクの方を見ると、少し困ったように彼女は続けた。



「団長を見ておくように頼まれてたのだけど、許可はとったかしら」



……気のせいじゃなかった!見張られてた!!
シャルあいつ完全に実権握ってるじゃん!ふざけんなよ水面下に隠れて!!
怒りに震えていると、何故かパクが穏やかな声で「シャルは本当に団長が好きね」と言った。
え、ちがくない?そもそも何で見張られなきゃいけないわけ、団員が団長見張るってどういうことだよ!
私はそんなやんちゃしてない。寧ろ一番まともだよ。一回仕事すっぽかして逃げたことあるけど。
ああそれか!それが原因だね!もしかしてまともなのがいけないのか。郷に従えってか。



「あいつは若干行きすぎてるけどな。方向性間違ってるっつーか」



フィンクスが呆れたように言った。私は寧ろシャルは私の事嫌いだと思う。
好きな奴を犠牲にして実権握る奴なんていないよ。あいつホントに策略家。

そうして悲しくなりながらも、私はそれ以上何も聞かず制止も振り切ってアジトを出た。ウボォーさんの元に急がなければ。

130109

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