クロロ成り代わり | ナノ
続・ハンターになりたい話

【続・ハンターになりたい話】
※現代


「ハンターになりたいんだって?団長」

「ぎくっ」



クラピカとレオリオに励まされ、ハンターになろうか本格的に悩んでいると
笑顔でシャルがやってきた。ど、どこで嗅ぎつけたきさま……



「ま、まぁな」

「ふーん、まぁ団長ならきっと楽勝だね」

「……そう?」



てっきり「団長には無理だろプギャーwww」って
言われると思ってたから何か拍子抜け……いや、流石に被害妄想が過ぎたか。
よくよく考えてみたらシャルは元々は可愛い奴だったのだ。最近悪魔だったから、過剰反応しすぎた。
ちょっとだけ顔がにやけてくる。楽勝だってさ…ふふ、と少し得意気になっていると
シャルが単純だなぁと言わんばかりの表情で私を見てきた。瞬時に真顔に戻した。



「とにかく俺は今年のハンター試験を受ける」

「そう。わかった、安心して」

「?何がだ」

「落ちたら大笑いしてあげるから、大丈夫だよ」

「えっお前それで俺が安心するとでも!?」

「え?団長なんだから、団員に下手に慰められるよりマシでしょ」



いや、私は大笑いされるのやだよ?
お腹を抱えて笑い転げるシャルがすごくはっきり頭に浮かぶ。

『あははははははっ!!だんちょ、おち、落ちたの?俺でも受かったのに?だんちょ、ひ、あははははは』じたばた


……………
絶対嫌だ……!!!!



「そっとしておいてくれ」

「それはそれで可哀想だよ、ほっとけない」

「いや…ほんといいんで。ありがた迷惑」

「遠慮しないでよ!」

「してない!ていうかそもそも落ちるとか言うのやめてくれないか?」

「何か団長些細なミスで落とされそうだよね」

「やめろって言ってるだろ!!」

「あはは、あるある〜」

「シャルっていつからそんなうざい子になったの!?ていうか今日は一段とうざい!」

「心配しなくても、団長にだけだよ」

「それが問題!もういい!絶対受かるからな!」

「頑張ってね団長!楽しみにしてるよ!」

「いや笑わせないから。まぁ、ライセンス取ったら?行動範囲も経済力もモノにできて?俺は、真っ当な生活への第一歩を踏み出すわけだ」


そうじゃなくともライセンス売り飛ばして、いつかは団長引退とか…今は団長やっててもいいけど
私は何処ぞの爺さんみたいに生涯現役でいるつもりはないです。
いつかはシャルとも中々会えなくなるねぇ、そう言ってふふんと胸を張ると、
シャルはとたんに笑うのをやめた。


「………団長、やっぱりハンターはやめておきなよ」

「なんでだ」


ちょっとムッとしてシャルを睨むと
シャルは真顔で淡々とすごく馬鹿らしい言葉を放った。



「真っ当な生活なんてしなくたってじゅうぶん楽しく生きられるし、そんなに行動範囲や経済力がほしいなら、俺がハンターやってるんだから俺と居ればいいだろ」

「……………え…」



いや、私は一生お前といるのは嫌なんだけど……
ていうかシャルから逃れるためにもほしかったんだけど。
だから私は受ける。シャルに何と言われようと、ハンター試験を!

そう決意した私はまだ知らない。
私が、ハンター試験を寒くて外に出たくないという理由で受けないことを。
そしてその後、その年のハンター試験がキルアオンステージに
成り果てたと聞いてやはり二度と受けまいと、毛布の中で決意することを。


130823

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