クロロ成り代わり | ナノ
ハンターになりたい話

【ハンターになりたい話】
※現代


ハンターっていうのは、やはりすごいらしい。その証であるハンターライセンス売るとものすごい大金が手に入るって聞いた。
個人の資産ができたら盗賊から足洗えるかも…!一戸建てあったかホームも夢じゃない!



「というわけなんだが!」



そこで私はハンターであるクラピカとレオリオに相談することにした。
勢い余ってずいっと身を乗り出すと一瞬クラピカの目が赤くなる。え……怒った……?ごめん……
しょんぼりしているとレオリオがすっと飲み物を差し出してきた。彼のやさしさはいつでも100%だ。
ちなみにクラピカは首を傾げていた。ああ、私の見間違いか。私の中でわりとトラウマなのかもな、緋の眼…



「…大丈夫だ。クロロなら力も充分にある。それなりに閃きも大事だが、お前ならそれも問題ないだろう」

「そうかな…」

「そうそう、大丈夫だって。ほら、一応アンタ念能力者で団長もやっているしな!」

「!ああ、そのとおりだ。お前なら大丈夫だろう」

「うぐ」



それはなんとも言えない……仮にも団長だけど私のアイデアとか殆ど通らないしこの前植木のボランティアを提案したらみんなに物凄い勢いで拒否されたし……
ていうか待ってクラピカ今何で一瞬驚いた!?私が団長って事また忘れてたの!?



「や……まあ実際に閃いて指示をだしてるのは私じゃないし…」

「え、そうだったのか?」

「うん…シャルっていうハンターの野郎が実際は私にあれやれこれやれ言ってきてるんだ」

「やはりか…旅団にハンターである人間がいるのはわかっていた」

「え、旅団にもハンターがいるのか!」

「はいシャルくんです…」



そういやハンターといえば、シャルが幼い頃「おれ大きくなったらクロロとハンターになろうかなぁ…ね、クロロ」と言っていたのはいい思い出だ。
この世界のことをちゃんと理解していなかった私は、本で見たハンターという職業を仮面ライダーとかそのへん実在しないヒーローの類と一緒だと思っていて、無邪気なシャルをかなり微笑ましく思ったものだが、いざ大人になってハンターライセンスを見せびらかされたときは本当に色んな意味で泣きそうになった。
だってあれだよ、「これで旅団の仕事サポート!」とか言われたんだよ。団長になってまだ間もない頃の出来事である。



「…とにかく、お前なら私達のアドバイスなんて必要ないだろう。寧ろ余計なアドバイスはないほうがいい」

「だな。がんばれよ、クロロ!」



レオリオが励ますように肩を叩いてくれる。ほんとうに励まされた。全力で頑張れる気がする。だが……



「でも毎年死人も多いっていうじゃん?そもそも受けようか迷う」

「……いつも思うんだけどよ…アンタほんとに盗賊団の団長か?」

「言うなレオリオ……」

「………」しょんぼり



レオリオのいうことは最もである。見えないですよねぇ……いやでもやっぱり誰でも死ぬのはできるだけ避けたいじゃん。
一応これでも死線とかいっぱい乗り越えてきたよ?ゾルディックとも2回も戦ったし。だからこそだよ。だからこそ命の大切さがわかるし己の限界もわかる。なんでいま生きてるかってそれは素晴らしい奇跡であって、きっと実力じゃないのだ。
あと意外にもシャルに助けられたことも多い。うん…むかつく……助けられたというかあいつに巻き込まれてピンチなところを助けられただけだしそれって当然だよね。
それなのにあいつは恩をきせてくる。思い出したら腹が立ってきた。怒りに手が震えるのをなんとか抑えていると、クラピカがすごく的を得た事を言ってきた。



「…というか、私達に相談するまえにそのハンターの男に相談するべきじゃないか?」

「それはいやだ!」



これ以上私の行動にシャルが関わってしまうのはそろそろやばいのだ。
このままでは生活の全てにシャルが絡み終いにはシャル立ちできなくなる。あの頃のシャルは可愛くて、それなのに頼もしくて、つい沢山頼ってしまったけれど、やっぱりそれもいけなかったんだ。この前あいつ、「クロロは何か、目が離せないから」とか言ってたし。いいからほっとけ!はなせ!私を自由にしてくれ!!

とにかくシャルに頼るのはもう絶対に避けるべきだ。
そうして私が1人燃えていると、二人がちょっと引いていた。よく引かれるなぁ私…泣きたい。


130809

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