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【5】
静かなカフェ。
今日はクラピカと2人でコーヒーブレイクである。
と、いうのも、クラピカに聞きたい事があったからだった。
「クラピカ、」
「何だ?」
「クラピカは、これからどうするの」
この前はわいわいしてて何となく聞けなかったけど、ずっと聞きたかった。
旅団をずっと憎んできたクラピカ。私達が仇じゃないって知って、これからどうするんだろう。
それが、何だか心配だった。
クラピカは、コーヒーカップをカタリ、と静かに置いた。
そして、目を少し伏せた。
「私はずっと、存在しない敵を憎んできた。どうやら同胞を襲った盗賊団は既に壊滅したらしいしな」
「……そうだったのか」
「知ったときは正直、ショックが大きかったよ」
そりゃそうだ。
復讐はよくない事だとわかっていても、私だってきっと仲間がやられたら復讐するし、クラピカにとってはそれが唯一の救いだったのだろう。
それを目的として、仲間を無惨に殺された怒りを必死に抑えながら、いままで……
これまでのクラピカの気持ちを思うと、胸が痛んだ。それは私のちっぽけな同情なのだろうか。
それでもいいから、私に何か出来たらよかったのに。
「でも、今は…よかったと思っている」
「…!」
「ゴン達にも随分心配をかけてしまったようだしな…今だって、お前も心配してくれている」
「あ…」
「すまなかったな。でも、もう大丈夫だ」
クラピカはふわりと儚げに笑った。
「これからは、奪われた仲間の眼を集める事に集中しようと思う」
「そ、そっか…!」
「ああ。…お前はどうするんだ?」
「え?」
「お前はこれから、どうするんだ?」
「あ…あー…」
全然考えてなかった。
とりあえずまたシャルから逃げなきゃなぁ…
あ、でもフェイタンと約束したから、植木のボランティアやんないと!
あ、でもまずフェイタン達ぐりーどあいらんどとかいうゲームやりたがってたし
みんなもどうせあのゲームはやりたがるだろうしまずそれやって…あとは……
何か色々大変だったから、終わった瞬間に何したら良いかこんがらがってきた。
…でも、今浮かんだの全部────旅団関係だ。
「…とりあえず団長は続けると思うよ」
何だか複雑な気持ちになりながらそういうと、クラピカは
そういやこいつ団長だった。みたいな顔をした。…うん、団長です。
もう笑うしかない。そうして笑っている私にクラピカは難しそうな顔をしながら言った。
「一つ、聞いていいか」
「ん?何?」
「お前はどうして盗賊、それも団長なんてものをやっている?失礼ながら、似合わないと思うのだが」
………
えっいや、うれしいよ!
そうなんだよ、向いてないんだ!
まぁ今更辞める気もないけどね!
私が団長やるよ!シャルに勝手はさせない二度と!
「…確かにね。俺は不本意ながら団長になったし。今でもいまいち納得はしていないよ」
殺しは相変わらずちょっと辛いし、怨まれてるだろうこともわかっているから、たまにどうしようもなく死にたくもなる。それでも。
「それでも俺は、最後までやろうと思ったんだ」
私は団長であることを、何だかんだで受け入れていたのだ。好きだと思うときもある。嫌いだと思うときもだいぶあるけど。
「……それこそ、何故…」
「さぁ…投げ出そうとはしたんだけど、どうも周りも自分もそれが嫌だったらしい。それと……皆が好きだから、かな」
「………」
だから私は皆に殺しなんてしてほしくなかった。
そして同時に、私はみんなと一緒にいたかったのだ。
「蜘蛛のメンバーは、半分以上がずっと昔からの付き合いなんだ。俺は、文句を言いながらも結局、好きな人と堕ちる道を選ぶ質らしくて」
嫌なことも一緒にしたかった。それくらい皆がすきだった。
それらをふまえての団長という地位。
実質権力がないのもそのためかもしれない。
「解せないな」
「だろうね」
「ああ」
「それでいいよ」
誰にもわかってもらえなくとも、私たちはそれで蜘蛛なのだから。
それに私がいなかったらあいつら、やりたい放題やっちゃうだろうし。被害者増えるし。
私がいなきゃだめなんだよな、うん!皆で人の喜ぶことしよう!
「…あ!」
「?」
「あのさクラピカ…俺も手伝っても、いい?」
「何をだ?」
クラピカは不思議そうに首を傾げている。
私は出来るだけ真面目な顔をしてみた。
見つけたのだ。私が、クラピカにできる事。
「…緋の眼を集めること」
「!」
クラピカは目を少し見開いた。
そして、少しだけ考える素振りをしてみせる。
「…クラピカは、もしかしたら一人で全部やりたいのかもしれないけど」
「……そうだな。でも確かに、一人ではかなり困難だと思っていた」
「うん、」
「協力してくれれば、助かるな」
「!!」
私は、嬉しくてつい勢いよく立ち上がった。
クラピカは小さく笑う。
「でも、どうやって?」
「決まってるよ!」
私も、得意げに笑ってみせた。
「旅団を動かせばいい」
クラピカはまた、そういやこいつ団長だった。という顔をした。
さ…流石に二回は酷い……
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