不可能な逃走劇
友達が欲しいと全力で神に、そして星に願いながらオークション会場に向かう。
そして、普通に真っ当に客席の方のドアから入ると、ステージ上にパクを見つけた。え…何で働いてんの、働かされてるの?
疑問に思っているとドアを開けた音によって此方に気づいたらしいパクが、何してんだ早く来いと言いたげな空気を出しながら目配せしてきた。
これは本格的に、捕まって働かされてると考えた方が良いのだろうか。パクとかスタイル良いし美人だからこういうの様になってるもんな…あると思います。
そうとなったら助けなければ…!そう意気込んだとき、
舞台袖に何かシャルナークっぽいやつがチラリと見えた。………ちがった!皆普通に仕事してた!!騙されるところだった!
パクはそんな私をじっと見ている。その目からは早く来いよというのがそれはもうひしひしと伝わってきて…
とうとうパクまでこれだ。酷い。私頑張ってゾルディックと戦ってどう見てもボロボロなのに。
…というか、私こんな思いしてまで此処にいる必要なくないか。
何だかんだ流されてきたけど、アジトと違って私を見張る奴等は居ない。
何でアジトから出られた瞬間に逃げ出さなかった、何だかよく理由は覚えてないけど、私馬鹿じゃん。
何やってんだ私、何がオークションだ何がマフィアだ、とっとと逃げよう。私は、真っ当に生きる…!
というところでまた電話がかかってきた。迷惑なので会場の外に出る。
そして若干ビビりながらディスプレイを見ると────シズクだった。シャルかと思った…珍しいと思いながらも一応出る。
『もしもし、団長?』
「………」
『ねぇ、聞こえてる?おーい』
フェイクだ!!!
電話の相手はシャルナークだったのだ。
「シズクじゃないのか!」
そう叫んで電源を切る。
するとその数秒後また着信音。あわてて切っても、何度も何度もかかってくる。狂気的なコールの数である。
電源を切ろうかと思ったがこの距離だ。直接来かねない。そしたら今度こそ逃げられなくなる。
私は仕方なく、我慢して電話に出た。
『何でシズクじゃないかっていうとね、俺の携帯別の事で忙しいんだ』
「そ、そうか……」
『それより団長遅いよ、さっき電話してから何分かかってると思ってるんだよ。ダッシュダッシュ!』
う、うざい……
こいつこんなにうざかったっけ…!
『どうせ逃げられやしないんだからさ』
ぎゃああああバレてた!!
『逃げるなら皆で手分けして追うけど?あ、ねえヒソカ、ちょっと』
うぎゃああああ!!
「す、すぐ行く!やめろ、それだけは…」
『何だか酷いなぁ◆』
ブツッ
私は黙って電源を切った。とりあえず皆に追われるのはまずい。
一人で逃げてるところをヒソカに見つかったら絶対殺される。あいつも私の能力について勘違いしてるから……
ぶっちゃけ実際の私の能力は大したものじゃないので私は強くないのに。
あ、でもヒソカが能力使ってくれたら隙をついて没収できて一時平和が訪れるかも。
そういうのもありだけど…あいつ念が無くても強いからなぁ…
シャルの言う通りダッシュでみんなの所に向かった。
途中ですれちがった、チャリ、と何処かで小さく金属の音を響かせる私より幾分か背の低い金髪の美しい少年が、何故か気になったが構っている暇はなかった。
ダッシュはしたものの、結局途中でどうやって舞台袖に行けば良いかわからなくなり、迷ってたどり着けなかった。そして、諦めてアジトに帰って、後にシャルに叱られた。もう私シャル嫌だ。だいぶ前からいやだけど。
130301
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