もしも生まれ変わったらこの桜の下で会いたいIf
〜会うはずの無かった出会い〜
ある日団長が、そわそわしながら俺の部屋に来た。
「お〜いクロロ、面白そうな念能力手に入れたぞ!」
「へぇ〜、どんな能力?」
団長は俺に近づいて来て《盗賊の極意》を出現させ念能力を見せてくれた。
「《異世界の自分(マイトリップ)》?え〜っと簡単に解釈するなら平行世界の自分が呼べるって事かな?」
「まあ、簡単に解釈すればな、ただ呼び出すためには平行世界のクロロ=ルシルフルがこの念能力を持って無いとダメだがな。」
「ねぇ、兄さんダメ元で使ってみない?」
「そうだな、せっかく盗んで来たしな。」
いたずらっ子みたいな顔をして笑うクロロと知的好奇心から笑う団長が《盗賊の極意》を発動させようとしていたその頃、
「う〜ん、この念能力借りたのは良いけど……、私は要らないかなぁ?でも使わないと返してあげられないし、どうしよう。」
成り代わり世界のクロロ(以降成代クロロ)は悩んでいた。悩んでいる事で自分の世界に入って自分が光っている事に気付かなかった。
そして、双子クロロが念能力を発動をした。
「「《異世界の自分(マイトリップ)》!」」
と唱えた瞬間部屋の中に光の珠が現れ其処から何か落ちてきた。
ベシャ
という音と共に1人の男性が床に倒れていた。
「……?(この人が平行世界の自分なのかなぁ?)」
「成功したのか?(まさかな?)」
「……。(痛い、て言うか顔打ったし最悪……。後聞き慣れた声がする……、幻聴だよね?)」
光の珠から落ちた男性が起き上がろうとしないのでクロロが近寄り手を差し伸べて言った。
「あの大丈夫ですか?立てますか?」
「あっ、はい。立てます、ありがとうございます。」
と立ち上がってくれた成代クロロが俺達を見てフリーズした。
「……。(えっ?何でクロロさんが2人も居るの!?さっき迄私アジトに居たよね?)」
「固まっちゃたね、兄さん。自己紹介した方が良さそうだね。」
「そうだな。おい!固まってる其処のお前、そこにソファーがあるから座って待ってろ、クロロも座って待っていろ、シャルに飲み物頼んでくる。」
「じゃあ、俺は彼に自己紹介と少し説明してるね。」
成代クロロはノロノロとソファーに座りその隣にクロロが座ったのを見て団長は部屋を出た。
団長の足音が去った位にクロロが話かけた。
「えーっと、初めまして。クロロ=ルシルフルだ、よろしく?かな。」
「初めまして?俺もクロロ=ルシルフルです、よろしくお願いします?」
「そんなに硬くならなくても取って食ったりしないから、リラックスしなよ。疑問が多いみたいだから俺から説明するよ。質問はその後でね。」
「ありがとうございます。」
「敬語取って欲しいな?クロロ君っと、なんてね。じゃあ説明するよ。」
クロロは成代クロロに解りやすく此処に居る経緯を話した。
「という事なんだけど何か質問はあるかな?クロロ君」
「クロロさんのお陰で大体此処に来た経緯はわかりました。一つ聞きたいんですが、最初此処に来た時に居た彼は誰なんですか?たぶん彼もクロロだろうけど……。」
「あぁ、説明してなかったね……、彼は……。」
コンコン
「クロロ入るぞ。」
タイミングよく団長が飲み物とお茶菓子を持って戻ってきた。
「ちょうど良かった。彼は俺の兄さんだよ!兄さん自己紹介位は自分でしてね!」
「はぁ〜、俺はコイツの兄のクロロ=ルシルフルだ。団長とでも呼んでくれ、平行世界のクロロ。」
「……双子なのか?君達は?後、俺の事はクロロかルシルフルで呼んで下さい。呼びにくいでしょうから……。」
「うん、俺達は双子だよ。クロロ君の世界は1人なんだね。」
「あぁ、そうですよ。……昔俺の夢枕に立ったクロロさんを2つに割ったら君達みたいになるんだろうな。」
「ルシルフルは俺達以外にも会った事があるのだな、興味深いな。」
「俺もクロロとしては普通では無いからですから……。」
自分が成り代わり的な事を2人に簡単に説明した。
「あぁ、君は本当の事を言ってる気がする。クロロ君のオーラ穏やかに見えるけど…、弱そうだし。」
「……、ヘタレそうだな。」
「言葉の刄が痛い……、初対面なのに……。」
「「すまないな(棒)」」
「それに棒読みかよ(涙)」
1人キノコ生やしていじけだした成代クロロに弟クロロが……。
「ごめんね、クロロ君。でも俺は君のオーラ好きだよ、優しそうだし安心する。」
「グスッ、ありがとう。後俺は何時まで此処に居ることになるんだ?」
「明日のこの時間迄だから丸一日かな?」
「えっ…、いっ1日マジで、ヤバいシャルに怒られる!何も言ってきて無いからめちゃくちゃ怒られる!外出禁止になる(涙)」
「ルシルフル、落ち着け。シャルは其処まで過保護では無いだろ?」
「俺の世界のシャルは下剋上しそうな奴だし、無断外泊なんてした暁には…。うわ〜ん(泣)」
本格的に泣き出した成代クロロの声を聞き付けたシャルナークが部屋に入ってきた。
「クロロに団長どうしたの?泣く声が下まで…、って何でクロロが3人居るの?」
「ひっ、シャル(ガタブル)」
「あちゃ〜、クロロ君こっちに来なよ。兄さんシャルに説明よろしく!」
「シャル、来てもらって悪いが俺と、この部屋出るぞ。説明はリビングでするからな。」
「まぁ、説明してくれるならそれで良いけどさ…。」
団長とシャルナークは足早に部屋を出て行った。
「大丈夫?クロロ君。俺達の所のシャルはクロロ君の世界のシャルとは違うと思うから安心しなよ。う〜ん、クロロ君の世界の団員の話を少ししてくれる?その後俺達の世界の団員の話をするからさ。」
弟クロロは安心させるように微笑みながら成代クロロに言った。
成代クロロはお茶を飲み気を落ち着かせて話し出した。
「う〜ん、俺の世界の団員は先ず俺の話を9割聞いてくれないかな…。」
「クロロ君、君は団長だよね?」
「うん、あぁでも団長命令は聞いてくれるよ!(5割位)」
「…、団長命令まで聞かない様だったらかなりまずいからね。(何か心の声で5割って聞こえた気がするけど気のせいにしておこう。)」
「でも最近は昔よりは皆話を聞いてくれるようにはなったんだよ。色々あったけど。クロロさん達の方の団員はどう何ですか?」
「俺達の方はね、俺に対して皆過保護かな?俺さ病気持ちなんだ、仕事の時に念の攻撃受けてさ、まぁ、念能力自体は直ぐに除念師に解いて貰ったから良かったんだけど、その能力者念以外にも病毒使いだったらしくてさ…、未だに治療法が見付からないんだ。旅団の皆は必死に俺の為に薬や治療法を探してくれてるけどね……。」
「…クロロさん。とても団員や団長さんに愛されて居るんですね。でも、少し寂しそうですね。今はこの部屋には俺しか居ないから相談くらいのりますよ?俺じゃ頼りないかも知れませんが。」
「ありがとう、クロロ君。君を困らせたい訳じゃ無いよ。じゃあさ、相談じゃ無いけど1つお願い事しても良いかなぁ?」
「はい、なんでしょう?」
「君も俺達と同じ念能力を持ってる筈だよ、だからその能力を使って俺達を君の世界に招待してくれないか?」
「俺の世界に?」
「君の世界のシャルに会ってみたいんだ、クロロ君。」
「俺の世界のシャルナークにですか?…俺の力でクロロさん達が喚べるか解りませんが帰ったら試してみます。」
「ありがとう、クロロ君。兄さんには俺から説明しとくよ。さぁ、俺はリビングに行くけどクロロ君はどうする?」
「俺も行きます。」
「もしシャルが恐かったら俺の傍に居たら良いよ。」
「ありがとうございます、クロロさん。」
その頃、団長とシャルナークは……。
「あのクロロは俺が盗って来た念能力で来た奴だ。まぁ、1日しか居ないから心配しなくて良いと思うぞ。」
「心配はしてないよ、団長達より弱そうだしね。強いて言うならイジリ倒したいかな?」
「止めてやれ、本気で泣くぞアイツは…。」
「わかったよ…。」
簡単な説明が終わったと同時にクロロ達が部屋に入って来た。
「兄さん説明終わったみたいだね?」
「ルシルフルもそんなドアの近くで止まらず中に入ってこい!シャルには手を出さないように言ってあるから。」
「はっはい!!」
おずおずしながら成代クロロが部屋に入って来た。
「……ねぇクロロ君、そっちの俺はクロロ君に何仕出かしたの?そんなに俺を恐がるなんて?」
「えっと……。(シャルに君付けされるのって少し気持ち悪いな……
)」
「ねぇ、なんで?」
シャルナークの質問に答えられないで居ると弟クロロが、
「コラッ、クロロ君をいじめちゃダメだろ!シャル。」
ポカッ
弟クロロが軽くシャルナークの頭を殴った。
「イテッ、クロロ俺はいじめて無いよ?ちょっと困らせて見たかっただけだよ?」
「……。(世界変われどシャルは一緒なの?)」
「もぉ〜、クロロ君がしょんぼりしたじゃないか!」
「あっ、メンタル弱いんだね?……クロロ君がイジりがいありそうなのが悪いって!」
成代クロロがまたしょんぼりしたのを見て弟クロロと団長は、
「クロロ君、シャルが酷い事言ってごめんね。普段はとても優しいのだけど……。」
「いつもよりは格段にマシですから。」
「シャル……、お前警戒してるのか?」
「……警戒なんてしてないよ、ただ面白そうだと思っただけさ。」
いつもの笑顔でシャルナークは言った。
「もうシャルの事は置いといてクロロ君の話をしてよ?」
「そうだな、話してくれ、ルシルフル。」
「あぁ、はい!」
成代クロロは色々な話を団長達に話し、楽しい時間はアッと言う間に過ぎていった。
「もうそろそろ時間だな、ルシルフル。」
「もうそんなに時間が経ってたんですね……、俺此処に来れて楽しかったです!」
「俺達も楽しかったよ、クロロ君。此処に来たのが君で良かった。あぁ後クロロ君、君も仲間から愛されてるよ、絶対に、じゃないと生き残れない特に旅団はね。」
「ありがとうございますクロロさん、……あの、もし良かったら俺と友達になってくれませんか?」
成代クロロの言葉に団長と弟クロロは顔を見合わせて同時に言った。
「「俺達は世界が違えど同じクロロだ(よ)、友達じゃなくお前(クロロ君)も俺達の家族だ(よ)!!」」
「!!ありがとう、団長にクロロさん!また、絶対に会いましょう!」
成代クロロは来た時と同じ様に光に包まれ消えていった。
光が消えて団長と弟クロロだけになり団長と弟クロロが、
「ルシルフル、ありがとう、クロロに笑顔をくれて。」
「ホント楽しかったよ、クロロ君。またね!」
それぞれ、感謝を口にした。
そして無事元の部屋に戻って来た成代クロロの部屋には仁王立ちのシャルナークが居た。
「……ただいま、……シャル。」
「今まで何処に行ってたの、クロロ。居ないから心配したよ?」
笑顔だが目の据わっているシャルナークに成代クロロこっぴどく怒られて1ヶ月軟禁生活を強いられたのは言うまででも無い。
後日、軟禁生活から解放されて自由になり弟クロロとの約束を叶える為、例の念能力を発動し、部屋が光に包まれ中から出て来たのは、一人は団長みたいな人で一人は銀髪の子供だった。
「(えーっと、俺失敗しちゃったかな?)」
成代クロロがおろおろしていると、銀髪の子供が話かけてきた。
「久しぶり、クロロ君!約束叶えてくれてありがとう!」
「えっ、あの?」
「クロロ、ルシルフルが困ってるだろ?説明はちゃんとしてやれ。」
「あぁ、そうだね兄さん。えーっと見た目が変わってしまった俺はクロロ=ルシルフルだよ?君がクロロさんって呼んでた方の……。」
「えぇーっ!!本当にクロロさん何ですか!」
「びっくりするよね……、でも間違いなく俺は団長の弟だったクロロだよ。だから兄さんと一緒に君の元に来れたんだよ!」
「……、色々あったんですね。でも、ようこそ俺の住む世界へ!ゆっくりして行って下さい!」
「「あぁ、よろしく、クロロ君(ルシルフル)」」
再会を喜び楽しい時間分かち合った3人であった。
余談
何故か、わからないが双子クロロは1週間ほど成代クロロのお世話になったらしい。
〜終〜
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