>> 【悪戯If】主人公が黒バス主
【河童の手】


悪戯の天才として全校生徒に割と親しまれているみょうじさんに
今日は落とし穴にはめられたと怒っている緑間君の話を聞いていて
他のみんなが自分がされた事を楽しげに話し始めたことから事は起きた。


「えっ、バスケ部って俺以外みんななまえっちに悪戯された事あるんスか!?」


黄瀬君の驚いたような一言に
みんなは顔を見合わせる。


「…え、黄瀬君ないんですか?」

「バスケ部っつか、全校生徒みんな大体あるんじゃねぇの?」

「名物だよねー」

「ええええ、俺クラス一緒だしなまえっちと仲いいつもりだったんすけど!」

「仲いいとか関係ないと思うけど」

「…あいつは誰彼構わずやっているからタチが悪いのだよ」

「じゃあなんで俺だけ…!今度聞いてみるっす!」






「…ということなんすけど、なまえっち、俺には悪戯しないんスか?」

「しない」


次の日黄瀬君に引っ張られて
何の機械か解らない機械をいじっているみょうじさんに会いに行った。
みょうじさんは変わった人だ。つねにサンタクロースのような大きな袋を引きずって
ふらりと悪戯をしにやってくる。それ以上の干渉はほとんどせず、夢中になったらそれしか見ない。
今はいじっている機械に夢中なみょうじさんはやっぱりこちらを見ずにはっきりと答えた。


「?何で?」


首を傾げる黄瀬君にみょうじさんはやっと顔を上げると何故か
深刻そうな顔をしながら、キッと黄瀬君を睨んできっぱり言い放った。


「黄瀬にはしない!」

「えーっ!?理由にもなってない!!」

「いそがしいので帰ってください」

「…ですって。残念でしたね黄瀬君」

「ひど!黒子っち〜俺って振られたの!?慰めてほしいっス!!」

「あの、みょうじさん、何でも良いので悪戯してあげてください」

「いやです」

「…赤司君にアレ、ばらしますよ」

「…脅しとは卑怯者…しかたない」


本当に仕方なさそうにしぶしぶと僕の方に投げ渡された紙は、
どうやら何かが包まれているようで少し膨らんでいた。しっかりした紙には
筆で書いたような文字で“河童の手”と書いてあった。少し墨汁が滲んでいる。
黄瀬君はまた首をかしげて僕の手からつつみを受け取ると、みょうじさんを見た。


「なまえっち、何スかこれ?」

「河童の手だよ。悪戯の代わりに黄瀬にやろう」


みょうじさんは作業する手を止めると
黄瀬君にドヤ顔をして、また機械いじりに戻った。
黄瀬君は袋をじっと見つめたあと、僕の方をみて笑った。


「はは、偽物っスよね!」

「そうですね…あ、袋にまだ何か書いてありますよ。
…“活きがいいです。ご注意ください”」

「い、活きがいいって…!www
なまえっちも可愛いとこあるじゃないっすかー」


笑いながらつつみを何の疑いもなく開けていく黄瀬君。
僕も少し興味が湧いて開いていくつつみを覗き込んだ。そのとき、



ががががががが!!



「!?」びくっ

「ぎゃああああかっぱあああああ!!!?」


袋が大きな音を立てて黄瀬君の手から落ちた。
それを、いつのまにか近くに来ていたみょうじさんがひょいっと拾い上げる。

そして袋を最後まで開けると、
中から捻じれた形跡のある金属のついた輪ゴムと、ただの厚紙をとりだしてきた。
それをこちらに見せつけるようにしながら、呆然とする僕達に一言。



「ひっかかったぁ」どやぁ…


渾身のドヤ顔付でした。そのまま河童の手を黄瀬くんに渡し、
みょうじさんがるんるんと去っていくまでぼーっと何処かを見ていた黄瀬君は、
再び手元に戻ってきた河童の手に視線をゆっくり視線を移した。


「……これ、どういう仕組みっスか?」

「…たぶん、この輪ゴムを捻った状態で紙に包んだんだと思いますよ。
黄瀬くんが紙を開いたときにそれが緩んで、この金属が袋に当たって音が出たんだと思います」

「へぇ…」


黄瀬君はそれをまじまじと見たあと、
真面目な顔をして立ち上がった。


「ちょっとみんなにやってくるっス」


そうして走り去った黄瀬君の後ろ姿は、すこし嬉しそうでした。
みょうじさんの悪戯は、悪戯なのにどうして皆を喜ばせるのかは
少し不思議です。


130805
河童の手はとある100均に売ってたりします。
大蛇のしっぽとかもシリーズであったり。
知らない方にはわかりづらいネタですみません。
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