>> がーるずとーく×クロロ成り
【団長が入れ替わる話】


「最近団長ちょっとちがうよね」


相変わらずの真夜中のガールズトークを欠伸をしながら聞いていると、シズクのそんな一言。
「え、そう?」なんて私が返すとマチは信じられないというふうに私を見た。え…なに…


「どう見ても変わったよ」

「えっそうかな…どういうふうに?」

「うーん…なんていうかね…」


三人は顔を見合わせたあと、声を揃えてひとこと。


「「「……あほっぽい?」」」

「前からじゃね?」


瞬間三人に殴られた。理不尽な暴力である。
いや、私だって団長があほだとは思いたくないよ。でも皆の話を聞いたあとに
でんぐりがえしをあんなに綺麗に決められてしまうとちょっと…


「大体あほっぽいって皆も今言ったじゃん!」

「今はの話だろ。普段もあほっぽいなんていうなまえがわるいよ」

「普段の団長は純粋で努力家でかっこいいわ」

「ソウナンダ…」


違いがわからない私は団員失格だろうか。
ていうかよくよく考えたら私一昨日くらいから団長と話してないや。


「とりあえずアホっぽいっていうのは失礼だからやめましょう」

「そうですね、今の団長もちょっとかわいいし」

「たしかに、ぼーっとしててね」

「声かけただけでコンマ一秒くらい動揺するところとか」

「コンマ一秒…!?きみたちは団員の鏡だね…わたし分かんないよ」

「あら、でもなまえ一昨日くらいから団長と話してないわよね」

「何でそんな正確にしってんの!?」


どんだけ団長のこと見てんのこの人達!!
居心地悪くないのかな団長は!!


「それならまぁ…わかんなくて当然か」

「だって、団長が雰囲気変わったの一昨日からだもん」


だからどんだけ見てんだよおまえらストーカーかよ。



***



そうして今度は最近の団長について語り始めた彼女達に
自分の居場所がいつもより無くなって困ったので
団長の様子をちょこっと見に行くことにした。
この時間だったらまだ起きているだろう。本とか読んでるはず。
そうして行ってみると…

何故だかせっせと荷物をまとめている団長がいた。


「あ、あの、団長…?」

「っ!?!?あ、いや。ちがうんだ。別にこっそり出ていこうとか、そういうのではないから……な…」


声をかけるとコンマ一秒の物凄い動揺。
若干こっちがびびった。シズクの言ってたとおりだ。
しかしなんで荷物まとめてるんだ、しかも風呂敷に……


「え、あ…あの、」


考えていると、おずおずといった感じの声がかかる。
だれからって、この場には一人しかいない。


「…え、な、なんですか団長」

「や、た、大したことじゃないんですけど」


おどおどしながら目を泳がせる団長。
……………たしかにこれはおかしい!!
いつもの目じゃない!!なんで気づかなかったんだ私!!
ていうか敬語!?どうしたの!?


「あ、あなたは、だれですか」

「……や、その、貴方が指揮をとってる組の団員です」

「えっ、そうなの!?」

「………えっ」


なに、変わったついでに私のこと忘れたの!?
な、長い付き合いなのに…
かなりのショックでどう反応していいか若干解らなくなった
私がとりあえず項垂れると、団長はごめんなさいごめんなさいと謝り出した。
そして突然頭を抱えて夜中なのに騒ぎだした。


「何か変だよ最近!!皆今まで私に対してあんまり関心なかったくせに
急にちらちらどころかガン見してくるし!!シャルはちょっかい出してこないし!!
代わりにやたら写真とってくるし!!!知らない女の子居るし!!」

「えっ、ちょ、団長ちょっとまて、それ私かおい」

「どうなってるんだぁぁぁあ」


戸惑う私をよそに団長が発狂したとき、何者かが廊下を
物凄いスピードでかけてくる音がして部屋のドアがバターーーンとあいた。
そこから現れたのは恐ろしい顔をしたフェイタンさまであった。
そして何も言わずにずかずか近づいてきてどういうわけか私の襟首をがっと掴む。


「なまえうるさいね…!近所迷惑もいいところよ…殺されたいか」

「いやいや私じゃない私じゃない違う違う」

「は…言い訳するか…?」

「ちげーよ私じゃないっての!!!」

「そっそうだフェイタン騒いだのはおれだ、その娘は全然わるくなくてだな、」


慌ててフェイタンの手を掴んだ団長の方にゆっくり寝ぼけた目を向けたをフェイタンは
ぎりぎりと私の襟首をしめていた手をぱっと離すと、私に見向きもせず団長に向き直った。


「団長…夜中に邪魔してわるかたよ」

「え、ああ、いや」

「団長も早く寝た方がいいね…最近ちょと変よ」

「……、そうか?」

「らしくないね…ま、それでも別にいいよ。ただ、体調悪かたら困るね…」

「や…やさしいな。ありがとう、フェイタン」

「…べつに」


そういって踵を返すとトコトコ歩いて行ってしまったフェイタンにため息。
団長は目をパチクリさせながらフェイタンが行ってしまった方向を指さして私に訊ねた。


「フェイタンって、あんなにやさしかった…?てかあんなに早寝だった…?」

「いや…いつもは起きてるみたいだけど、今日は早寝だったみたいだよ」

「他のみんなは?やけに静かだけど」

「大体の人は寝てるはずだけど…女子はガールズトーク中だよ」

「えっガールズトーク!?!?ちょ、ちょっとまって」

「何?」

「えっと…またシャルに頼るのはムカつくんだが…」

「ムカつく…?」


そんなに仲悪かったっけ…
むしろ良くなかったか、わりと。


「それで、シャルが?」

「ああ……シャルは普段、俺の言うことをちゃんときいているか?」

「もちろん」


まさかシャルが、というか団員が団長の言うことを聞かないはずがない。
皆団長信者だし……当たり前の事なので即答すると、団長は腕をくんでうーんと唸った。
そして一人でぶつぶつと「そうかこれがクロロさんが言ってた…」とか呟いている。
独り言はよくあることだが、何故だかいつもと全然ちがって
あまりにも異様なので目を見張っていると、突然納得したように頷き私の肩をがっと掴んだ。
若干びびってるわたしにとどめの一言。


「わた、俺は、多分パラレルワールドからきたみたいだ!!!」


………えっ
何この電波団長関わっちゃいけない危ないやばいやばい


「あの、私もう寝るんで。おやすみなさーい」

「えっ、ちょ、まってよぉおぉ、えと、なまえ、さんっ!!!」


どうやら厄介なことにまきこまれたようだ。
平気で団員に縋り付いてくる情けない団長はギャップと言われれば
まぁ可愛くないこともないけどいややっぱ奇妙すぎて皆みたいに可愛いとは思えないわ。
前転でもびっくりだというのにこれはさらにどうしたもんか。
半泣きになりながら俺の所のシャルはムカつく奴だったんですとか
皆話を聞いてくれなかったんですとか、急に変わった対応に戸惑いながらも
今のうちに逃げようと思ってましたとかいろいろ話す団長モドキに私は頭をかいた。
ていうか、その風呂敷はそういうこと(夜逃げ)か!!


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