12

次の日、本当にリカルドは来た。
昼飯を食べ終わり、することもないのでお昼寝しようかと思ってた時だった。

まさかの食事用の台車?に紅茶と三つの段になったケーキスタンドに乗る多くの茶菓子を置いてゴロゴロと運んできた。
思わず吹いてしまったのは仕方がない。
なんだこの似合わなさは。

「どうした?」

「いや、えと、それは?」

「菓子をつまみながら話すのもいいだろう」

そうして彼の後ろに続いてきた使用人が丸テーブルと二つの椅子を並べる。
扉は結構狭いのに頑張ったなこの人たち。

白いアンティーク調のテーブルと椅子でオシャレな感じだ。
そこにリカルドが持ってきたお菓子屋紅茶を並べてくれた使用人たちはそのまま出て行ってしまった。

「そう言えばまだこの狭い部屋にいたか」

「いや、貴方の指示でしょう」

「そうなんだが、そろそろ息苦しいだろう」

「まぁそうですね」

窓がないのは酷く息苦しく感じてしまう。
それに部屋自体はある程度の広さはあっても何もなさ過ぎて困っている。

「後ですね、暖かい手拭いで身体を拭くのももう嫌です」

髪の毛は二回ほどシャワールームへ連れられて洗えたのだが、やっぱ痒い。
毎日洗っていたのだから違和感がすごい。

「そうだな。ちょっと待ってろ」

そう言って彼は部屋を出てく。
鍵もかけずにだ。
間抜けだなぁと思いながら、逃げ出すでもなくスコーンを一つ食べた。

すぐにリカルドは戻ってきて部屋の手配をしたと言う。
どうやら夜には移動できるとのことだ。
ちなみにバスルーム完備。

「さて、部屋はそれでいいな」

「はい。ありがとうございます」

そんなリカルドは甘いものが好きらしくずっとお菓子を食べてる。
お菓子を口に入れたまま喋るわけではないんだけど、兎に角凄い勢いだ。

「甘いもの、好きなんですか」

「そうだな。好きだ」

あ、今笑った?
正直絶対笑ったと自信を持って言えないが、表情が一切崩れないので少しでも変化があるとすぐにわかってしまうのだ。

「俺料理作るの好きなんですよ。まぁお菓子は素人ですけど」

「そうなのか。菓子作りは、難しいだろう」

「やったことあるんですか?」

「一度だけ、な。残念ながら料理の才能は無かった」

心底悔しそうに言う彼に笑ってしまう。
なんだこの人、面白い。


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