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なるべくその視線を避けるように。
ただぼんやりとした、コイツは何をしているんだろうか?的な視線。
強いわけでも、完全に俺に興味がないわけでもないぐらい。

最期に足環を外せば終了。
これでどうだとリカルドの視線に応えるようにそちらを向く。

「・・・?」

どうしたんだお前的な視線に変わる。
この人にとって完全に宝具をとってしまってもさしたる影響はないとゆうことか。

「いや、貴方が本当に強いのかなぁと思って」

「ああそうか。お前の偽の王よりも強いだろう?」

「知りませんよ。戦ってるとことか見たことないし」

なんか、手間暇かけたものではないとはいえ、こんな呆気ないとは。
なんだか不満に思いながらもとりあえず言葉を飲み下す。

「それで、何の用ですか?」

「クリウスに俺はいつ来るのか聞いていたらしいが」

「いえ、もう大丈夫です」

「そうか」

そのまま立ち去ってしまいそうなリカルドの服をつかむ。

「どうした?」

どうしたもこうしたもないけれど。
ここに来てから会話らしい会話をあまりしてないからか、この瞬間が酷く貴重なものに思えたのだ。

「花嫁の話を、してくれませんか?」

咄嗟に口から出た言葉。
普段から聞きたかったことではあるし、リカルドを引き留めるためでもある。

「それは力だったり王との関係か?」

「はい。花嫁や王に関係するなら何でも構いません」

「わかった」

ベッドに座っていた俺のすぐ隣に腰かけたリカルド。
あまりにも近い距離に、一瞬強張ってしまうけれど息を吸って落ち着けた。

「そうだな・・・まず、吸血種について軽く説明してからだな」

そうして、俺や文献を書いた人間が知らない吸血種の物語が始まった。



吸血種とは何か。
これは文献に書いているものと同じことしか言えないが、人間の亜種だ。
最古の吸血種であるシェイヴィネア家は、言葉通り最初に突然変異が起きた人物の家系である。
何故いきなり突然変異が起きたのかはわからないが、当時から人間は長寿で人口も多かったらしく、人口を減らすために人類が起こした変化ではないかと言われている。

そして花嫁についてだが、これは起源はよくわかっていない。
当時王という名称が使われていたかはわからないが、我がリジアドル家の祖先が最初の王として花嫁と結ばれた。

吸血種は完全なる実力社会であるが、それでも馬鹿をする奴らがいる。
その為の王である。
そして花嫁は吸血種と人間が手を取り合おうとする象徴とも言われてるな。
花嫁の血液は我ら吸血種にとって至上のものであり、強い力にもなる。

それと花嫁の起源はわかっていないとは言われてるが、こんな説もある。
吸血種の方が高い繁殖力を持って居る為、人間と吸血種の比が吸血種の方に傾きすぎた時代があったらしい。

その時に花嫁が生まれたのだ。
花嫁の血液に触れた弱い吸血種はその身を黒くさせるという。
そして、黒化した吸血種は永い眠りにつく。
そうしてその後、人間へと変わるのだ"

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