楽しみにしすぎて寝れない。
そんなことは無いけれど、次目が覚めたら外に行けるのかと思うと鼓動は速まっていく。
暗闇の中、目をパチパチさせている俺に気付いた紅がそっと頭を撫でてくる。
何故だかそれだけで安心してしまい、さっきまでが嘘のように睡魔が訪れた。
次に目を覚ました時には既に朝日は昇っていて、眩い光がカーテンの隙間から差し込んでくる。
眩しさに目を細め、漸くして目が慣れてからベッドから出た。
折角の外出だけど天候が悪かったり、寒すぎたりするのは残念だから、良い天気で良かった。
嬉しくてカーディガンも着ずに廊下への扉を開けてしまったのだが、やはり寒いものは寒いのですぐに部屋へと戻る。
そんなことをしていると珍しく紅が起きてくる。
寮でも一緒に寝食を共にしていたけど、この時間に起きた紅なんて初めて見た。
ベッドへ駆け寄り、朝の挨拶。
「おはよ、紅」
「・・・ん、」
目をこする紅。
寝起きは子供っぽくて可愛いんだよなぁ。
なんだか母性本能みたいな心地でいるけれど、後頭部に手をやられ、引き寄せられてキスをされれそんな心地じゃいられない。
朝だというのに、寝ぼけているからか存外長い口づけに少々頭がクラクラしてきたところで解放され、ようやく紅は目覚めたようだ。
「はやく朝飯食おう」
「わかった。紅も何か羽織りなよ」
「ああ」
二人同時に部屋から出たのが珍しかったようで、たまたま通りかかったメイドさんが驚いていた。
まぁ紅は起きるの遅いから朝は別々か俺が待ってるかだもんなぁ。
食堂につきすぐさま温かいご飯が並べられ、半分ほど食べたときに紅が今日のことについて話をしてきた。
「街に行くにはここからだと1時間程かかるから、食い終わったらすぐ行くからな」
「わかった。何時ぐらいからお店とか開いてるかな?」
「9時ごろには開いてると思う」
そうこうして食べ終わるとすぐに仕度を済ませる。
8時を少し過ぎた頃だからちょうどお店が開く時に到着できるだろう。
紅にエスコートされながら車に乗り込むとすぐさま出発。
ちなみにもう一台の車にシアや黒羽さんなどが乗っている。
暫くは変わらない景色が続いたがやがて活気のある街の景色が見えてくる。
到着すると共に勢いよく外へ出て、息を吸う。
なんだか、自由って感じ。
目立たない方がいいとゆうことで後ろにシアともう一人お付きのメイドさんが居るだけ。
メイドさんとシアも私服で、傍から見ても怪しくはないだろう。
それにしても外出とゆうわけで宝具はきっちり全部つけてきたけど、金属が冷えて凄い寒い。
脚の方は靴下の上につけたりなどしたのだが、いかんせんネックレスが冷たい。
服の上にしても、動けば素肌にあたってしまうのだ。
まあ宝具をつけるのが最低条件だから文句は言わないけれど。
さてはて、朝食をとってから少ししかたっていないのに外へ出れたことが嬉しすぎたらしい俺は、屋台で食べ歩きできるものを買いまくったりしてしまう。
これではお昼ご飯のころにはお腹いっぱいな気がするけどいいか。
アクセサリーや小物が売っていたり、気に入ったものを言えば紅が買ってくれる。
俺、このままこの生活してたら金銭感覚なくなってく気しかしない。
あれもこれもなんて言うのは流石にやめて慎重に選ぼう。
手に取った瞬間に買うか?って聞かれるんだよ金持ちめ。
暫く買い物を楽しんでいたのだが、少々疲れて来たのでカフェに入ることになった。
ちなみに当然のようにメイドさんとシアが荷物持ちしてくれている。
これで疲れたとか、ダメ人間化してるかもしれない。