5

午後の授業を受けている最中に思い出す。
そう言えば勉強しなきゃいけない。来週の水曜日からテストだ。
憂鬱な気分になりながら、今週末の約束は来週に持ち越ししなくてはいけないなぁ。
そう思ったが翠は学年で10位以内に入る秀才だ、勉強教えてもらえればいいんじゃないかと思う。
下手に自分で勉強して結局赤点とったら元も子もないしそれならば何もしないで遊びたかったと絶対後悔するに決まってる。

そう決めると帰りに言っとこうと決心して黒板へと目を向けた。

             ******

「遅れてごめん!」

昼と違い、今回は翠が遅れる番だった。
翠だけ違うクラスだから昼や行き帰り、夕食しか一緒にいれない。
詩葵は放課後も互いの部屋でゴロゴロしているらしいが、一度見たことがあるがもう甘すぎる。
あれは同じ空気に居ることも耐えられないと正樹と共に早々に脱出したのであった。

「おう、お前のクラスの担任いつも話長いよなぁ」

「そうなんだよー、どうでもいいから早く帰らせろってぇー」

「おっつかれー」

「正樹もねー」

「翠、荷物もつ」

「詩葵…!!いつもありがとう」

各々が翠に話しかける。
最後のはもういつもどおりなので気にしない。気にしたら負けだ。

寮へたどり着くとエレベーターに乗る。
もっと話したいが夕食は食堂へ行ってみんなで食べるので後でということに。
ちなみに俺は詩葵と同室だ。
正樹と翠はほかのクラスメートと同室である。
翠の同室の人が変な人だったらとそわそわしていた詩葵だったが翠と同じクラスの彼氏持ちのチワワだったので良かった。
とりあえずもう男が彼氏持ちでも気にしないことにしよう。

実際に今、この世界では性別など全く気にされない。
俺は柔らかい女の子の方が好きだーってだけで、周りには男同士のカップルなんて溢れんばかりにいる。
女の子同士で付き合ってる子もいるみたいだし、本人同士がいいならそれでいいと思う。

「あ、翠。日曜はついでに勉強を教えてくれるとありがたいんだが」

「テストかぁ…いいよ!料理教えてもらうし僕も勉強しなきゃいけないもん」

「サンキュ、じゃあまた夕食でな」

ちょうどエレベーターが音を立てて停まり、扉が開く。
詩葵と翠がおりる。それに手を振る。
閉まる扉、正樹と二人きりになる。

「あー…本当に透ってば真面目ー!!テストやだぁ!」

「赤点とって追試のほうが面倒だろ」

「…そうだけどさぁ…」

「そう思うんだったら大人しく翠に教えてもらえ」

日曜日来るんだろ?と言うと小さく唸ってから返事が返ってきた。
正直言えば俺だって嫌でたまらないけれど勉強してるんだから周りで遊んでるやつがうざいってだけだけど。

エレベーターを降りてそれぞれの部屋へと向かう。
と言っても正樹とは斜め向かい側の部屋だから物凄く近いんだけど。
翠だけが残念ながら他クラスということで階が違う。

「じゃねー。いつも通り6時半ね」

「おう」

そう言って軽く手を振ってやってから部屋へと入る。
詩葵はきっと、まだまだ戻ってこないだろう。

[ 7/120 ]

[前へ 目次 次へ]
しおり

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -