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寝苦しさに目を開ける。
腰の痛みや怠さは拭えないものの、身体は清潔になっているし衣服も着せられている。

一応風呂場での後処理は途中まで覚えているものの、そこから先は記憶が無い。
寝てしまったのだろうけど、そうすると着替えさせてくれたのは紅か。

後処理は羞恥でしかなかったけど、身体のことを考えると紅に任せてよかった。
とは言っても絶対次からは自分でするけれど。
嗚呼、次って、俺はなんて奴だ。

あれほど覚悟がどうのこうのって悩んでたくせにことが過ぎ去るともうこうなる。
なんだかよくわからずに悩みが吹き飛んだけど、これでいいのだろう。
元々俺は自分でも思うけど、考えるのに向かないタイプなのだ。
嫌なことがあっても寝て忘れるってタイプと言えばいいのか、兎に角そんなのだ。

さてはて、自分の中のモヤモヤが消えたことに安心し、その次は寝苦しさの原因の紅をどうにかしなければならない。
まだ寝ていてもいいのだが、時計が示す時間は既に10時を過ぎている。

行為の負荷により、身体は休むことを望んでいたのだろう。
それにしたって寝すぎな気もするけど、たまにはいいってことで終わり。

目覚ましに起こされずに自分で起きたのだからこれが俺の睡眠の限界だろう、起きよう。
腕を退かし、ベッドから降りると洗面所へ向かう。
顔を洗おうとする朝の習慣なのだが、如何せん歩きづらい。

どうしても腰を庇うような歩き方になってしまうし、お尻の孔が痛い。
いつもより苦労しながら歩き、着替えを済ませて部屋の外へ出る。

近くにいたメイドさんに温室に朝食を運んでもらうようにお願いして温室へ向かう。
厚くて未だに半分ほどしか読めていない本も持っていき、花に囲まれながら読書。
なんて優雅な時間なんだろうか。

朝食を済ませ、再び読書に戻ろうとする。
一回部屋に戻った方がいい気もするけどこの空間はやはり心地よくて動きたくない。

どこまで読んでいたのか、栞を挟むのを忘れてしまいページをめくる。
ふと、ページの間にメモ用紙のようなものがあった。

「・・・?栞挟んでたっけ?」

だけどいつも使っている栞はテーブルの上だ。
そこで、はっとしてメモを抜き取る。

『もう少しだけ、夢を見ていなさい花よ』

この前と違って本当に一言だけの言葉。
だけどあのバラの絵が描かれているメモ用紙は一緒。

まだあるのかもと探すともう一枚あって思わず息を詰める。

『夢はいずれ覚める』

これも、一言だけ。
とゆうか夢っていったいなんだ。

なんだか気味が悪くて顔を顰めてしまう。
これは現実だ。

この謎のメッセージを送ってくるのはおそらく紅を王様にしたくない、俺の血を私欲で使おうとする人物だ。
誰にも話してはいないけど、やはり話をするべきか。
だけどこの前のメモには友がどうのこうのと書かれてあったし、歯がゆい。

結局いくら考えても対策も何も出来ないし諦めることしかできない。
どうすることも出来なくて、ただ花を見つめていた。


第二章 終了

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