18

それから数日。
日中はたまに出かけることもあったけれど、基本的に二、三時間で帰ってくる紅。
だから一緒にお茶をしたり、馬に乗ってるとこ見せて貰ったり、結構楽しく過ごせたのではないだろうか。

紅はやはり今までのお仕事で疲れているのかよく昼寝したりするので、昼食を食べた後はシアと談話タイムに入る。
今日もそれは変わらずに、大欠伸をした紅を見送って俺達は日当りのいい場所に移動して午後のティータイム。

本当に、なんでこんなに美味しいお菓子を作れるのだろうか。
プロだから、なんて当たり前の答えが返ってきそうだが本当に美味しい。
美味しすぎて早くも二つ目のケーキに手が伸びてしまったよ。

「あ、そうだ。俺この地域の料理習いたいんだよね」

「料理長にお話ししておきますわ」

ふとつぶやいた言葉にメイドさんが即座に反応してくれる。
このメイドさんは割と初期からお茶会の時とかにお話しをしてくれてるので、今では結構気軽に話せる人だ。
少しずつだけど、この環境にも慣れて楽しく過ごせている。

「透は料理が上手ですもんね」

「いやいや、そんなことないよ」

「透様はお料理をなされるのですか!私、女ですけどお料理が苦手で・・・」

「女だからって料理しなきゃいけないわけじゃないし、大丈夫だよ」

けっこう深刻な顔で料理が出来ないと言うメイドさん。
今は同性婚もあるし、別に女の子だから料理しなきゃいけないと思わない。
とゆうか逆に男だから料理しなくていいってわけでもないと思うんだよなぁ。

「あ、俺今度お菓子も作りたいんだけど厨房少し借りれないかな?」

「それなら厨房とは別ですが調理出来る環境のところがありますわ」

仕込みやらなんやらしてるだろうから無理にとは言わないけど、せっかく時間もあることだしお菓子作りもしてみたい。
そう思って言ったのだが、やはり言ってみるものだなぁと思った。

「やった。でも厨房あるのに、なんでそんなとこあるの?」

「昔旦那様の妹君もこの屋敷に住んでおりまして、ご趣味が料理だったのです」

どうやら当主様の妹様はもう結婚して家を出たので暫くは使われていないようだが、掃除とかはきちんとされてるからすぐに使える状態らしい。

世襲制の神咲家は代々当主がこの屋敷に住み、代替わりの際は前当主夫婦は隠居の為に別の屋敷を作りそこに住む。
神咲家直系の女性は嫁ぐまでは新しい当主になってもこの屋敷に留まるようだが、男は代替わりしたらすぐに出ていかなければならない。
仕来りなどあるんだろうなぁ、とは思ってたけど大変そうだ。

兄妹や姉弟ならいいけど、兄弟だったらちょっと面倒だろうなぁ。
所謂跡継ぎ問題ってやつんなんだろうけど、俺にはよくわからないや。

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