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吸血種―――
遠い昔に生まれた人間の亜種と呼ばれる類のものだ。
実際にはこの種族には謎が多すぎて全くわからないのだけれども。
一つわかるとすれば、血を飲むということだけだ。
基本は人間と同じなのだが定期的に血を飲まなければ死ぬらしい。

「あー・・・まぁ、仲良くしてやれよ」

ざわめきを押さえ込むように机をたたいてその後の連絡を済ませた。
それでも担任が出て行くと一気に騒がしくなる教室。
隣のクラスからも騒音が聞こえてくるのできっとこのことを知らされたのだろう。

「いやぁ・・・どうなるんだろうねぇ」

楽しそうに木ノ瀬は言うけれど正直どうでもいい。

ただの吸血種が来るのならばこんなに騒がなかったかもしれない。
しかし、数日前から噂が立っていたのが主な原因だったと思う。

曰く、元老院の三老が今年のうちに吸血鬼の王と悪魔に愛されし子供が出会うらしいと予言した。
百発百中の人らしいから信憑性は90%は普通に超えるらしい。

てか、昨日読んだ本の物語は本物なんだ。
むしろそっちのほうに驚いたのだが気にしない。

で、それがこの学園で出会うらしい。
今現在居る吸血種は王になる可能性のないものらしい。
というわけは、編入してくる奴らが王の可能性がある。
ってことでぎゃーぎゃー騒がれているらしい。

ついでに言うと愛されてる子供とやらは人間なのでもしかしたら自分かもしれないというので騒がれている。
今現在有力候補?なのは2年の自意識過剰な先輩だ。
まぁ見目麗しいのは認めるけれどもさ。
世界が自分を中心に回っていると思っているから怖いものだ。

全く、確かにその子は男でも女でも構わない。
だから同性であっても何も問題はないと。
そう思うことは悪くないけどどちらかと言えば女性の方が高い気がする。
だって、その子は花嫁と呼ばれるものだから。

まぁでも、この学園で出会うってことは男か。

「とりあえず移動授業だ、行こうぜ」

「んー」

そう言って二人が立ち上がる。
すると―――

「ちょ、俺のことおいてくなって!!」

「あぁ詩葵。どうしたんだ?」

「いやじゃなくて置いていこうとしただろ」

「約束したっけ?」

「してないけどさぁ…」

「もう、透ったら意地悪だなぁ」

「あーうん、悪かった悪かった」

「……透の馬鹿」

「馬鹿で悪かったな」

コイツは斎川詩葵(さいかわしき)。
吸血種でなかなか強いらしい、そしてイケメン。
イケメン死ね、滅びろ。

次は理科室へ移動なので3人でトボトボとろうかを歩く。
詩葵は吸血種なのでやはり王に凄く興味を示していてずっと王の話ばっかりしていた。
はっきり言ってどうでも良かったのだが正樹が予想以上にその話にノっていたので煩かった。

「はぁ、眠い…」

そんな呟きも二人の声には消えていったのだが。

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