「おはよう」
後ろから友人?腐れ縁の木ノ瀬正樹(きのせまさき)が声をかけてきた。
疲れるので歩く速度も変えないし木ノ瀬も気にしない。
木ノ瀬とつるむようになったのは中学で席が前後だったからだ。
こいつは根っからの金持ちでこの学園には幼稚部からいるらしい。
ちなみに俺の家は特別金持ちというわけではないが一般よりはいいのではないだろうか。
流石に中等部までは寮は無いのだが高等部からは全寮制となっている。
「・・・おー」
「うわーいつにも増してだるそう・・・」
苦笑とともに言われた言葉。
確かに昨日は試験勉強をしていたのでとても怠い。
「・・・うるせ」
はっきり言って自分は馬鹿だと思う。
高一の時に大丈夫だと思って少しの勉強しかしていなかったら見事に追試だった。
中学までは普通の公立だったのでちょっと勉強すればある程度(追試を貰わないぐらい)は大丈夫だった。
まぁそういう過程を踏まえて試験前は勉強をするようになったのだった。
教室にたどり着くと椅子に深く腰掛け体を前に倒す。
それを横の席からこちらを向くように座りながら笑う木ノ瀬。
「お前の方が馬鹿なんだから勉強しろよ・・・」
「でもさ、机に向かうとすぐ眠くなるじゃん」
「だから図書館でやって家ではねるんだよ」
「へー、でもよくそれで真ん中よりちょっと上キープしてるね」
「お前・・・この前後ろから5番目ぐらいだったよな」
「え?なんの話?」
目をパチパチさせながら首を傾ける。
野郎がそんなことしてもまったくもって可愛くともなんともないのだが。
「はぁ・・・もういい」
「んー」
だなんて話をしていると教室入ってくる担任。
まわりはやばい、時間だなんて話しながら慌てて席へ走っている。
途中でぶつかる馬鹿なやつらがいて不覚にも笑ってしまった。
「お前ら・・・ちゃんと座ってろよ、馬鹿」
ため息をつきながら喋り始める。
学級委員が号令をかけると皆同じようにたって同じように礼して座る。
「えーと、今日は特に連絡はない・・・おっと、忘れてた」
そこでいつもより真剣味を帯びた顔になる。
いつもはちょっとチャラいというか子供っぽい担任が急に大人だなぁと思えてきて。
きっとそれだけ重要な話なのだろう。
「吸血種が来る」
あたりにざわめきが広がる。
特に同じ吸血種の奴らが目を見開いていた。