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今身に着けていない宝具を取りに教室まで行くと、着替えた瞬間腕を引かれ寮の部屋に連行される
押し込まれて黒羽さんを二人残し、カイン先輩と部屋に待機となってしまった。

「紅には連絡したから学校終わったらすぐ来ると思うよ」

「わかりました」

「じゃあ僕もそろそろ行くから。大人しくしててね」

黒羽さんに手当てされながら立ち上がったカイン先輩を見るとやっぱり苦しそうな顔で言った。
いくら宝具を付けたからと言って血の臭いは隠せるはずもなく若干顔が蒼褪めていたので早々に帰ってもらうことにした。
やっぱいくら黒羽さん居たとしても一番距離が近いのはカイン先輩だからね。
俺自身吸血種の強さとして知っているのは人より運動神経がいいとか力が強いとかだけなので未知の世界だ。

扉を開ける前に何やら呟いていたのは聞こえたけどはっきりとは聞こえなかった。
首を傾げて尋ねるとここを結界で封鎖しているので出入りの時結界に少しだけ穴をあけるらしい。
それがカイン先輩が呟いてたのらしいけれど、やっぱりその呪文?みたいなのは教えてもらえなかった。

「あ、すいません。弁当詩葵か正樹に渡しといてくれませんか?」

「わかった。何か伝言することは?」

「暫く会えないかもしれないけど弁当は届けてもらうから安心して、とお願いします」

一度頷くとすぐに一人出ていった。
そうすると黒羽さん一人対俺なのでちょっと気まずいけど事前に空気と思えと言われたのでそうすることにしよう。
でも気になってしまうから俺用の飯を作ろう、うん。
趣味に没頭すれば時間が過ぎるのは早いとか言うしね。

ちなみにとにかく急いでいたので宝具を取りに行き着替えたら荷物をまとめて黒羽さんが持って行ってくれたので弁当置いといてと言えなかった。
まあ雰囲気的にもすごい張りつめてて、いくら強い人たちの集団とはいえ彼ら自身吸血種なのだろうからきついところもあったんだろう。

「あの、俺今から飯作るんで食べますか?あ、てかさっきの人も帰ってくるだろうし・・・」

「我等のことは気にするな」

「でも俺が馬鹿みたいに怪我したから態々呼ばれたんでしょ?お礼みたいなものです」

「心遣いは有り難いが、これの関係で無理だ。すまない」

これ、と指さしたのは真っ黒い仮面。
なんか模様とか書かれてあるけどよくわからないから知らない。

とりあえず納得して冷蔵庫をみて放課後紅が来るならきっと夜まではいるだろうという想像に至る。
結構な量を食べるので作り甲斐があると言えばそうだが普段昼の弁当(5人分)と同じぐらい作らなきゃいけないのが面倒だ。
そう考えると冷蔵庫内の食材では彼の腹を満たすには不十分だと言える。

買い物に行きたいけど外に出るのにみんないい顔はしないだろうしどうしようか。
お使いを頼めばいいだろうかと思うけどさっき俺のお願いで一人欠けているのだ、俺を監視するためにいるのに一人もいなくなっては元も子もない。
先程の人が帰ってくるのを待てばいいだろうか。
とりあえず俺一人の昼食を作るのには十分なのでとりあえず後で考えよう。

飯は冷凍ご飯を作ってあったのでそれを解凍する。
味は落ちるとはいえ時々飯作るのがあり得ないほど面倒になる時があすのでその時重宝させてもらってる。
おかずに塩鮭をやいて後は簡単に緑の野菜で和え物を作る。
後はサラダをと思ってブロッコリーやらプチトマトやらそれらしいのを洗って生のまま頂くとしよう。
俺自身脂っこいのはあんまり好きじゃないので煮るならともかく生が一番だと思っている。
市販のドレッシングを掛けてはい終了。

視線は感じるものの監視されているので仕方ないと気にしないのが一番だ。
原因を作ったのは自分なのでそれに対して文句をあれこれ言うほど我儘になりたくないし傲慢でもない。

食事を終えたら本を数十分読んで眠くなったのでソファーだということも忘れて寝た。


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