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皆食べ終わり皿洗いをし終って黒髪さんの隣に座る。
するとそれと同時に扉が開く。

「・・・・黒」

全身黒尽くしの男たちが入って来た。

「お初にお目にかかりまする、愛子よ。我らは元老院より参った黒羽と申す」

「あ、どうも。桜月透です」

黒尽くめの長身の人達に囲まれると威圧感がなかなか凄くてちょっとビビる。
でも俺が愛子だからかすっごい丁重に扱ってくれる。本当に俺お姫様?王子様?にでもなったのかと思う程。
五人とも声が低かったので男だろう。面で顔が見えない。てかこの高さで女の子だったら怖い。

「宝具を持ってきたが、誰が?」

誰って、君じゃないの?
俺以外はなんだか難しい顔で考えている。
といっても黒髪さんは欠伸をしている。呑気なものだって俺は言えない。

「あの、どういう意味ですか?」

「理事長。お教えしていないのか?」

「あぁ、すまない。忘れてたよ」

はっはっはと笑う理事長にあのへらへらしたカイン先輩まで溜息をついている。
ゴホンと息を吐いて口にする言葉に耳を傾ける。

「今は宝具を付けるのが先だからいろいろ省くけど」

「はあ」

「ぶっちゃけ言うと王じゃないと花嫁に宝具つけらんないんだよね」

「・・・・え、それって」

「うん。王様は誰か不明なんだよね」

いたずらっ子の様に笑う理事長に頭が痛くなったのは今度は俺もだ。
でもやっぱり黒髪さんは知らんふり。

というか、宝具つけられないって俺このまま暫くはこの部屋に軟禁状態?

「えっと、さっき言ってた候補の人に・・・あ、カイン先輩は外して」

「ひどっ!!いや、確かに色香にやられてるけどさぁ」

この様子からカイン先輩は確実にない。
黒髪さんや理事長、黒羽さんたちはセーフだからある程度力が強ければ大丈夫。

「・・・イギリスの人とか言ってませんでしたっけ」

「候補には入れといたけど、俺と同レベルだから外さなくちゃいけないや」

どうやら結局イギリスの人は外れらしい。
じゃあ「紅」さんとやらが王様なのだろうか。

「紅、って人は?」

「あー。・・・どうですかね、紅さん」

理事長が俺のお隣の黒髪さんに話しかける。
ってことはシアのご主人様とやらはこの人なのかと観察する。

「知るか。・・・まぁ折角来たんだし試してみるか?」

「最有力候補は貴方ですから試す価値はありますね」

そんな言葉と共に重々しい飾りの宝石箱のようなものが五つ取り出される。
ああ、だから五人来たんだと今更ながらに感心。

テーブルの上に置かれる箱。
理事長とカイン先輩がソファーから降りて隅っこの方へ移動する。
俺は黒髪さん―――もとい紅先輩と向かい合う姿勢になる。

黒羽さん達が俺らの周りを取り囲み何やら怪しげな呪文みたいなものをぶつぶつと言い始める。

そんな中、俺はもう流れに身を任せるしかなくて。
鋭い目つきの、紅色の瞳をもつ彼をぼーっと眺める事しかすることがない。

嗚呼本当に面倒なことになった。
適当に過ごして、そんでいつか死んでいく。
可もなく不可もない、そんな人生が俺の理想図だったのだがそれはぶっ壊された。
じゃあ、この人が王様だったら―――俺は一体どんな人生を歩むのだろうか。


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