17

ぱちりと目が覚める。
カーテンの隙間から漏れる太陽の光は眩しくて思わずもう一度目を閉じる。
布団を体に巻いて暖房をつけて窓に近づく。
ガラスに触れるとやっぱり冷たくてビクッとして手を離す。

なんだかとても大事なことを忘れているような気がしなくもない。

欠伸を一つしてボーっとしていると少しではあるが暖まって来たので布団をベッドに戻しカーディガンを羽織る。
冷たいそれは暫くすると体温によって暖まってきた。

自室を出ると共同スペースに出る。
時計に目を向けると八時を示していて俺今日早起きだすげぇと自画自賛。

そう言えば詩葵は戻ってきているのだろうか。
確認してみたいけれどもし寝ていたら起こしてしまうかもしれないのでやめよう。


というか、現実逃避をもうやめよう。

「・・・・・うるせーよー」

玄関から呼び鈴の音、ノックの音、終いには扉を蹴る音。
開けなくてはいけないのだがこの音が俺の睡眠を邪魔したのかと思うと開けたくない。

たぶんカイン先輩が昨夜でなかったので朝から来たという事だろう。
いや、待っててとか言われて勝手に寝ちゃった俺も俺だけどさーと考えながらやっぱり玄関へは向かわない。

対処法は何が言いかなーとか呑気に考えているとノックの音も荒々しくなってきた。
この音で詩葵が目覚めないわけがないのできっと詩葵は翠の所にお泊りしているのだろう。

「あー・・・まぁ、うん。状況確認したいし」

面倒事はお帰り下さいなのだがこれからの事を考えると説明は欲しい。
それにカイン先輩には助けてもらったという礼があるので朝食ぐらいもてなそうか。


わざとスリッパを大げさに動かし足音を響かせながら玄関へと向かう。

ガチャリと開くとともに見えるのは碧眼の王子様ではなく般若。
あれ、こんな人知らないと閉めようとする。

「透くーん?」

ガッと扉を止められて目をぱちくり。

「あー・・・お邪魔されまーす」

そんな馬鹿げた言葉と共に閉めようとしていた力を緩めてお部屋へご招待。


「適当に座っててください。同室者は今居ないんで」

まぁ一応の礼儀として珈琲オア紅茶を聞いて紅茶と言われたので用意する。
俺のは話を真面目に聞こうと言う姿勢を取るため眠気覚ましに珈琲を用意する。

「どうぞ」

「ありがとう」

「で、先輩。仕方ないこととはわかるんですけどそこまでですか」

対極の位置に座る先輩。
極力、なんでもいいから近づこうとしない先輩に少々涙。
昨日のあれをみたらまぁ仕方ないのはきちんとわかってはいるんだけどさ。

「ん、ごめん。でも昨日元老院に連絡したから宝具は届くから」

「宝具の説明からよろしくです」

「簡単に言えばこの色香を防ぐものだよ。」

「そんなに臭いますか」

「・・・物は言いようだね」

ちょっと掌とかの臭いをかいでみたけれどなんの臭いもしない。
首を傾げていると笑って本人には分からないものだよと言った。


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