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「・・・貴方は?」

「僕はカイン・ユナルヴァルツ」

正式名称はもっと長いんだけどねと苦笑する目の前の人物、カイン。

「ちなみに最近二年生に編入してきたんだ」

俺が警戒しているのは見たことがない顔だからと思ったのか自己紹介。
そのままこの人を信用してもいいのかと考えていると名前を教えてくれと言ったので戸惑いながらも告げる。

「透、か。綺麗な名前だ」

ちなみに何で言葉が通じているのかと言うと吸血種にもいろんな種族はいるが結局話す言葉は全世界共通。
初めて生まれた吸血種達が考えた言語が世界に広がって、そりゃ訛りみたいなのも生まれたけど基本一緒なのだ。

「ありがとうございます」

この人と話していたらあの妙な気配が何時の間にか消えていることに気付く。
何でだろうかと思ったけれど、どちらにしろこの人は一応安全だという事を示すのでよしとする。

「それで、散歩と言ったけれどわざわざ昼前に?」

「今日は俺の誕生日で、友達がパーティーを催してくれるのでそれ待ちです」

そう告げた瞬間目を軽く開いたが気が付いたらもとに戻っていて。
柔らかい笑みを作っていた。

「そうなんだ、おめでとう」

「ありがとうございます」

「・・・・君が、そうなのかな」

「?どうしたんです?」

今、何か言った気がするけど残念ながら聞こえはしなかった。
尋ねたのだが何でもないと言われればそれ以上聞けなくて。ただの独り言かもしれないし。

その後も少し言葉を交わしてからいつの間にか時間が迫っていることに気付いて別れを告げる。
折角だし一緒に帰ろうよと言われたのでエレベーターまでは一緒だった。



呼び鈴を鳴らせばスピーカーの向こうから今行くと元気良い正樹の声。
ガチャリと扉が開けば満面の笑みを浮かべる彼が居て、こっちこっちと手招きされるままついて行く。

リビングへ入ればテーブルの上に乗せられている数々の彩り豊かな料理。
これを一人で作っただなんて翠も本当に料理の腕が前と比べて相当上がったなぁと感心。

そのまま椅子に座ると詩葵の音頭でパーティーが始まる。
今回は和食が好きだと言う俺に合わせて和食にしてくれた。
炊き込みご飯やら肉じゃが、その他諸々本当に美味しかった。
言葉にすると照れるけれど翠が嬉しそうに微笑むので俺まで嬉しくなる。
途中からはワザと美味い美味いと言ってやった。

「はぁ、食った食った」

「マジで美味かった」

「もう、それ聞き飽きたから透」

「でもマジで美味いんだって」

「詩葵ったら―」

「はいバカップルさん今は自重しようねー」

最後の正樹の発言はまじでナイス。
俺の誕生日にそんなイチャイチャしたところ見せつけるなといってやりたかった。
ゴメンと笑う二人に毒気を抜かれて俺と正樹も笑う。

「じゃあケーキも作ったから食べてね!」

「へぇ、ケーキも作ってくれたんだ」

驚いて言うと得意げに笑うので楽しみだと笑う。
甘い香りに思わず頬が緩みながら、その味に凄いと美味いと溢す。

「お菓子はあんまり作んないもんねー透は」

「俺は料理専門なんだよ」

そんな言葉も交えながら最後にプレゼントを貰ってパーティーはお開きとなった。
とはいってもその後も翠の部屋でうだうだゲームやらいろいろしていたんだけどね。


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